UNIVAC I

UNIVAC I: 初の汎用電子デジタルコンピュータ

UNIVAC I（Universal Automatic Computer I）は、1951年に米国で誕生し、ビジネスアプリケーションに特化した世界初の汎用電子デジタルコンピュータです。設計にはENIACの開発者であるジョン・プレスパー・エッカートとジョン・モークリーが関与し、誕生したこのコンピュータは、エッカート・モークリー・コンピュータ・コーポレーション（EMCC）で開発されました。資金の問題に直面する中、レミントンランドによる買収を通じて販売が実現しました。

開発の背景

このコンピュータは、1951年3月31日に米国国勢調査局との契約を結び、同年6月14日に納品されました。特に注目すべきは、1952年の大統領選挙での成功です。この時、米国原子力委員会のために製作された5号機がCBSによって使用され、わずか1%のサンプル調査でアイゼンハワーの逆転勝利を的中させたことで、広く評価されました。

技術的特徴

UNIVAC Iは、5200本の真空管を使用し、メモリには100本の水銀遅延管を搭載。全体の重量は約7.5トンで、1秒間に最大10万回の加算が可能です。また、初めて磁気テープを用いた入出力装置を搭載し、プログラム内蔵式のオペレーションが特徴的でした。これにより、従来のビジネス用途においても迅速なデータ処理が可能となり、普通のデータ処理機器と比べて圧倒的な性能を誇りました。

進化系であるUNIVAC IIでは、メモリが強化され、より高いデータ処理能力を実現しました。メインメモリには2000ワードの磁気コアメモリが用いられ、プログラムの効率も向上しました。このバージョンは日本の東京電力にも導入され、多くのビジネスデータ処理に利用されました。

市場への影響

UNIVAC Iは、ビジネス上のニーズに応えたシステム設計として成功を収めましたが、市場が形成される過程には課題もありました。初期にはパンチカードを用いたデータ入力が必要で、手作業でのデータ整備がコストとなり、販売が難航しました。これを克服するために、UNIVACは専用の入出力機器を開発し、事業の拡張を図りました。

特にCBSとの提携が重要でした。大統領選挙での結果予測に成功したことがメディアで取り上げられ、UNIVACの名は一躍有名になり、以降の選挙予測にコンピュータが利用される基盤を築きました。このことは、コンピュータ自体への社会的な認識変化を促進し、多くのビジネスシーンでの導入を後押ししました。

さらなる技術革新と後世への影響

特に注目すべきは、UNIVACが技術的進歩を続け、その後のコンピュータ技術に多大な影響を与えた点です。UNIVAC Iの設計思想は後のコンピュータに多くの影響を与え、デジタルコンピュータの発展に寄与しました。

現在、UNIVAC Iの第一号機はスミソニアン博物館に展示されており、その歴史的意義を今に伝えています。また、ミュンヘンのドイッチェ博物館にも本体が展示されており、多くの訪問客にその技術の礎を示しています。UNIVAC Iは、コンピュータの歴史において欠かせない存在であり、現代の情報技術の発展にも寄与してきた重要なマシンと言えるでしょう。

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