UP4800

NEC製UNIXサーバ UP4800シリーズ：信頼性を重視した多様なラインナップ

NEC（日本電気）がかつて展開していたUNIXサーバ「UP4800」シリーズは、同社のミニコンピュータMSシリーズの後継として位置づけられた製品群です。高い信頼性と可用性を重視した設計が特徴で、幅広い用途に対応できるよう、シングルプロセッサから最大10プロセッサ構成までの多様なモデルが提供されました。

アーキテクチャとOS

UP4800シリーズは、MIPSアーキテクチャのプロセッサを採用し、オペレーティングシステムにはSVR4をベースとしたNEC独自のUNIXであるUP-UXやUX/4800が搭載されていました。エンジニアリングワークステーションとして知られていたEWS4800シリーズとは用途を異にしており、RAS（信頼性、可用性、保守性）を強化したハードウェア構成が採用されています。マルチプロセッサモデルは全て対称型マルチプロセッシング（SMP）システムで、システムバス制御チップにはNEC独自の設計が用いられました。

機種のバリエーション

UP4800シリーズは、プロセッサの種類やクロック周波数、バスの種類、プロセッサ数によって様々な機種が展開されました。主な機種とスペック例は以下のとおりです。

シングルプロセッサ機: 初期モデルではR3000(33MHz) 、VMEバスを採用。その後、R4000SC、R4400PC、R5000SCなど高性能なプロセッサを搭載したモデルが登場し、バスの種類もVMEバス、APバス、PCI/EISAへと進化しました。
2プロセッサ機: R4400MCやR10000といったマルチプロセッサ対応プロセッサを採用し、APバスやPCI/EISAバスを使用していました。
4プロセッサ機: R4400MCやR10000、R12000など、複数のプロセッサを組み合わせた高性能モデル。バスの種類もAPバス、PCI/EISA、PCIと多様化しました。一部機種ではキャッシュの問題によりリコールされた事例もあります（例：UP4800/760）。
8プロセッサ機: R4400MCやR10000、R12000を搭載し、高い処理能力を実現。APバスやPCIバスが使用されました。
* 10プロセッサ機: 最高性能モデルとして、R10000やR12000を搭載し、PCIバスを採用。2000年5月には、10プロセッサモデルが発表されました。

市場での動向

UP4800シリーズは発売当初、好調な売り上げを記録しました。しかし、その後NECはUNIXサーバ事業において、自社開発ハードウェアからヒューレット・パッカード社のハードウェアを採用する方向へ転換し、NXシリーズ（NX7700、NX7700iなど）へと移行していきました。この戦略転換により、UP4800シリーズは生産終了となりました。

まとめ

UP4800シリーズは、NECがUNIXサーバ市場において展開した重要な製品群です。信頼性と可用性を重視した設計、幅広いラインナップ、そして高性能なプロセッサの採用は、当時の市場において大きな存在感を示していました。その歴史は、NECのサーバ技術の進化の一端を垣間見ることができる重要な事例と言えるでしょう。 しかし、市場環境の変化や企業戦略の転換により、その歴史は幕を閉じました。

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