Ultrabook

Ultrabook：薄型軽量PCの進化

2011年、インテルによって提唱されたUltrabookは、薄型軽量ノートPCの新しいカテゴリーとして登場しました。ノートPCとタブレットの長所を兼ね備え、高い処理能力と洗練されたデザインを両立した製品群です。本稿では、Ultrabookの概要、その進化、主要メーカー、そしてマーケティング戦略について詳細に解説します。

Ultrabookの概要と歴史

COMPUTEX TAIPEI 2011で発表されたUltrabookは、当時としては革新的なモバイルPCとして注目を集めました。インテルは、このカテゴリに3億ドルもの開発資金を投じ、技術革新を推進しました。当初は第2世代Core iシリーズプロセッサー(Sandy Bridge)の超低電圧版を搭載し、薄型軽量、そして長時間のバッテリー駆動時間を特徴としていました。

その後、プロセッサーの進化とともにUltrabookの要件も更新され、性能向上と省電力化が図られてきました。第3世代ではHaswellプロセッサーの採用により消費電力が大幅に削減され、バッテリー駆動時間が飛躍的に向上。2018年にはKabylake-Rプロセッサーの搭載により、クアッドコア化による性能向上も実現しました。各世代で定められた具体的な要件については後述します。

Ultrabookの世代ごとの要件

インテルは、Ultrabookの要件を各世代で明確に定めていました。しかし、第4世代以降は複雑化した要件をベンダーのみに公開するようになったため、ここでは第1世代から第3世代の要件を紹介します。

第1世代

第2世代Core iシリーズプロセッサー(Sandy Bridge)の超低電圧版
厚さ：14型以上は21mm以下、14型未満は18mm以下
バッテリー駆動時間：5時間以上（8時間以上推奨）
7秒以内の高速復帰機能
Wi-Fi機能
セキュリティ機能（Intel Anti-Theft Technology、Intel Identity Protection Technology）

第2世代

第3世代Core iシリーズプロセッサー(Ivy Bridge)の超低電圧版
厚さ：14型以上は21mm以下、14型未満は18mm以下、コンバーチブル型は23mm以下
Intel Smart Connect Technology搭載
USB 3.0またはThunderbolt端子搭載
ストレージ読み取り速度：最低80MB/s
その他：第1世代と同一

第3世代

第4世代Core iシリーズプロセッサー(Haswell)のUシリーズ・Yシリーズ
厚さ：23mm以下
バッテリー性能：HD動画連続再生6時間以上、アイドル状態9時間以上
3秒以内の高速復帰機能
マルチタッチ対応ディスプレイ
音声認識機能
Intel Wireless Display(WiDi)機能
その他：第2世代と同一

主要参入メーカー

多くのPCメーカーがUltrabook市場に参入しました。日本国内では、パナソニック、Acer、ASUS、デル、富士通、HP、レノボ、LG電子、NEC、サムスン電子、VAIO（旧ソニー）、東芝、マウスコンピューターなどが代表的なメーカーです。各社は独自の技術やデザインを取り入れ、多様なUltrabookを提供していました。

マーケティング戦略

Ultrabookは、数億円規模の大規模なマーケティングキャンペーンを実施しました。テレビ広告では、虎のキャラクターを起用したCMが話題となりました。また、店頭では、虎のキャラクターを使用したPOPやポスター、店員トレーニングプログラム、家電量販店での特設コーナー設置など、多角的なプロモーション活動が行われました。

まとめ

Ultrabookは、モバイル性を重視した高性能PCとして、市場に大きな影響を与えました。各世代における性能向上、そして積極的なマーケティング戦略は、Ultrabookを成功に導いた要因と言えるでしょう。現在では、Ultrabookという名称はそれほど使われなくなりましたが、その技術的革新は後のモバイルPCの発展に大きく貢献しました。そして、Ultrabookの登場は、現在の薄型軽量ノートPCの主流へとつながっていると言えるでしょう。

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