VK4501(P)

VK4501 (P) - ポルシェティーガーの概要

VK4501 (P)、またはVI号戦車ティーガー (P)（Panzerkampfwagen VI Tiger (P)）は、第二次世界大戦中のドイツにおいて開発された戦車です。この戦車は「ポルシェティーガー」としても知られ、試作の段階でヒトラーの関心を引きましたが、最終的には量産型としては採用されませんでした。

開発経緯

VK4501 (P)は、ドイツ軍が強力な戦車を求めた結果、フェルディナント・ポルシェによる設計で開発されました。1941年5月26日、ヒトラーは新たな戦車の必要性を強調しました。これを受けてポルシェ社とヘンシェル社が競作を行いましたが、ポルシェの設計は実用化に向けた試験で問題を抱えていました。特に、車両は信地旋回ができず、サスペンションやエンジンの不具合が解消されないままでした。最終的に、ヘンシェル社の設計が量産されることになりましたが、ポルシェはまだ自らのデザインに期待を寄せており、早期に量産を手配したため、実際には多くのVK4501 (P)の車両が製造されました。

構造と設計

VK4501 (P)は、IV号戦車の保守的な設計を基に構成されており、傾斜装甲を持たない垂直構成が特徴でした。運転手席と無線手席はほぼ垂直であり、車体は全体的に四角い形状をしています。また、前面右側には無線手が操作する前方機銃が設けられました。ただし、車体前方のハッチが実用性や耐弾能力に欠けているため、後に設計が見直されました。

砲塔はヘンシェル社製のティーガーIに流用され、設計が改修されたものが搭載されました。砲塔は一体構造であり、設計が当初のドイツ戦車とは異なっていました。装甲は、前面に100mm、側面や後面には80mmが施され、他の戦車に比べて厚さが倍増しました。

駆動方式

ポルシェ博士は、VK4501 (P)に独自の電気駆動システムを試みました。このシステムは、2基の空冷ガソリンエンジンが発電機を回し、その電力で電気モーターを駆動する方式でした。このアプローチは、従来の戦車の複雑なギアシステムを省略し、操縦を簡素化する狙いがありましたが、しかし、開発段階でエンジンに関する問題や発電機の不具合が多発しました。結果として、VK4501 (P)は不整地走行中に外部から電力を供給される事態にまでも至ったのです。

実戦投入と改良

VK4501 (P)は第653重戦車駆逐大隊で数輌が指揮戦車として投入され、戦闘に参加しました。ここで、空冷エンジンからマイバッハ製の水冷式エンジンに換装され、性能が向上しました。また、車体前面には100mmの増加装甲も施されました。これにより、強化されたVK4501 (P)は実際の戦闘での運用に対応するようになりました。

結論

VK4501 (P)は実際の使用には至りませんでしたが、ドイツの重戦車開発における重要な試みとして位置づけられています。最終的にはヘンシェル社の設計が主流となりましたが、その試行錯誤は後の戦車技術の進展に寄与したと言えるでしょう。

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