VSQ

株式会社VSQ（ブイエスキュー）は、日本の九州地方、特に福岡県を主な活動拠点とする映像コンテンツの企画・制作会社です。テレビ西日本（TNC）のグループ企業であり、日本の主要なポストプロダクション事業者の団体である日本ポストプロダクション協会にも加盟しています。本社は、福岡市早良区にあるTNC放送会館内に構えられており、親会社であるテレビ西日本と密接に連携しながら事業を展開しています。

VSQの創業は、1977年2月にテレビ西日本の関連会社であるTNC企画内に設けられた映像事業部がその源流です。翌1978年2月1日には、テレビ西日本およびTNC企画からの共同出資を受ける形で、「株式会社ビデオステーション・キュー」として独立した法人へと発展しました。会社設立当初は、当時のテレビ西日本社屋が置かれていた福岡市南区高宮に本社を構えていました。テレビ西日本本体は1996年に現在の福岡市早良区百道浜に移転しましたが、VSQはその後も長らく高宮の旧社屋で業務を続けていました。しかし、2007年10月29日に、ようやく親会社と同じく百道浜のTNC放送会館内へと本社を移転し、現在の活動拠点に至ります。そして、設立以来の正式名称であった「株式会社ビデオステーション・キュー」から、社内外で広く使用されていた略称である「VSQ」を冠した「株式会社VSQ」へと、2018年7月1日付けで社名を変更しました。

VSQが手掛ける制作事業は非常に幅広く、様々な種類のテレビ番組や映像コンテンツを含みます。最も密接な関係にあるテレビ西日本の番組制作には深く関与しており、朝の情報番組『ももち浜ストア』をはじめ、TNCで放送される多数のレギュラー番組や特別番組の制作を担っています。また、地域行政との連携も強く、福岡県の広報番組制作も重要な事業の一つです。2013年からは、福岡県が企画する3本の広報番組を一括して制作する体制を確立し、これらの番組を地上波テレビ局での放送に加え、県のインターネットテレビサイトにも配信しています。

テレビ西日本だけでなく、福岡県内の他の民放局の番組制作にも協力しています。九州朝日放送（KBC）で放送される『ふくおか暮らしにプラス』や、福岡放送（FBS）の『ふくおか新発見』、そして同局で放送される人気バラエティ番組『福岡人志、松本×黒瀬アドリブドライブ』などもVSQが制作に携わった番組です。

スポーツ中継の分野においても実績を積み上げており、特にサッカーJリーグの公式映像制作を受託しています。スカパー！がJリーグ中継を行っていた時代からこの事業に携わっており、かつてはアビスパ福岡のホームゲーム中継の委託制作を担当していました。2015年からは制作担当が変更となり、現在はDAZN向けにサガン鳥栖のホームゲーム中継の制作を主に担当しています。これらのスポーツ中継における実況は、南鉄平氏のような九州地方を拠点に活動するフリーアナウンサーが多く担当していますが、近年では親会社であるテレビ西日本のアナウンサーが担当する機会も増えています。

さらに、VSQの制作範囲はローカル番組に留まりません。FNS九州沖縄ブロックの8局で放送される紀行ドキュメンタリー番組『匠の蔵』シリーズの制作も手掛けています。また、全国ネットの番組制作にも貢献しており、テレビ東京系列で放送される経済ドキュメンタリー番組『日経スペシャル ガイアの夜明け』の一部パートや、過去に放送された『大空の革新者たち』、『年末拡大版 世界を救うニッポンの技術SP』、『WORLD FUKUOKA NEWS』といった特別番組の実績もあります。特に近年では、NHK大阪放送局が制作し、全国放送される連続テレビ小説の重要なパート制作にも関与しています。2024年度後期の連続テレビ小説『おむすび』では、物語の舞台の一つとなる福岡に関連するパートの制作協力を担当するなど、その技術力と実績は全国レベルで評価されています。このように、VSQは多様なメディアとジャンルに対応する映像制作能力を持ち、福岡県、そして日本の映像コンテンツ産業において重要な役割を果たしています。

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