Virtual Rabbit

アルバム『ヴァーチュアル・ラビット』の概要

『ヴァーチュアル・ラビット』は、アーティスト平沢進の3枚目のソロアルバムとして、1991年5月25日にポリドールよりリリースされました。このアルバムは、平沢初期ソロ3部作の3作目にあたります。2020年には、180g重量盤アナログレコードとして再発行され、今なお多くのファンに親しまれています。

アルバムの特徴と内容

このアルバムの特徴の一つは、歌詞カードに収められた「ヴァーチュアル・ラビット物語」という短編小説です。この小説は、収録された楽曲の順番を変更して楽しむことができるというユニークな構成がされており、聴く人に新しい形での音楽体験を提供します。また、アルバム全体を通じて、科学によって失われた「もうひとつの世界」をテーマにした物語が展開され、初期「統合」3部作の完結篇としての意味を持ちます。

セットリストにもさまざまな魅力が詰まっており、特に注目すべきトラックには以下の楽曲があります：

• - 嵐の海 (Stormy Sea): この曲はもともとP-MODELの時代に制作されたものですが、平沢はそのイントロを活用して新たに完成させました。宮沢賢治のフレーズを取り入れたことで、文学的な深みも感じられます。
• - バンディリア旅行団 (Bandiria Travellers): これは、アニメ「DETONATORオーガン」の第1話エンディングテーマとしても知られ、後にアルバム「変弦自在」で新たにアレンジされました。
• - 我が心の鷲よ 月を奪うな [プラネット・イーグル]: このトラックは、後に「ナノ重複記念曲集」でリメイクされています。
• - UNDOをどうぞ (Please Push 'UNDO' Key): この曲では、平沢が出会った太平洋戦争に関連する体験談を基にした音声記録が使用されており、非常にインパクトのある内容となっています。

参加アーティストとリリース履歴

平沢進自身がボーカルやギターに加え、コンピュータープログラミングを担当しました。また、作品には東京混声合唱団や様々なアーティストが参加しており、コーラスやストリングスで魅力を引き立てています。特に、髙橋BOB敏彦や戸川純などの著名なアーティストが名前を連ねている点も見逃せません。

アルバムは一時期は廃盤となり、中古市場でも高値で取引されていましたが、公式な情報はないものの、2011年頃に再発売されたようです。このように、長い間多くの人々に支持され続けている名作となっています。さらに、リリース以来いくつかの楽曲は後のアルバムでもリメイクされ、新しいエディションやアレンジによって多様な楽しみ方が広がっています。

ライブパフォーマンス

1991年の発売を記念して行われた「ヴァーチュアル・ラビットツアー」では、アメリカの星条旗を吊るすパフォーマンスが話題を呼びました。独特な演出とともに楽曲が演奏され、観客に強い印象を与えました。

このように『ヴァーチュアル・ラビット』は、音楽だけでなく、文学やアート、さらには歴史的背景にまで考察を加えた深い作品です。平沢進の独創的な世界観は、リスナーを虜にし続ける一因となっているのです。

もう一度検索