Void (コンピュータ)

プログラミングにおける void について

概要

プログラミング言語における void は、「何もない」や「無効」といった意味を表すキーワードまたは型です。多くの言語でプリミティブ型として扱われ、特に以下のような場面で使用されます。

関数の戻り値の型: 関数が値を返さない場合に、戻り値の型として `void` を指定します。これは、関数が副作用（グローバル変数の変更や出力など）を目的として実行されることを示唆します。
ポインタ: `void ` は、任意の型のデータを指すことができる汎用ポインタとして使用されます。これにより、ポリモーフィックな関数を実装したり、コールバック関数に任意のデータを渡したりすることが可能になります。
演算子: JavaScriptなどの一部の言語では、`void` 演算子が用意されており、式を評価した結果を無視して `undefined` を返すために使用されます。

`void` は、`null` や `Unit` 型と似た概念ですが、`void` 型の値は存在しない点が異なります。

詳細

関数の戻り値としての void

多くのプログラミング言語では、関数が値を返さない場合、その戻り値の型を `void` とします。これは、関数が特定の値を計算して返すのではなく、何らかの処理を実行することを意味します。例えば、C言語の `printf` 関数は、コンソールに出力を行うだけで値を返さないため、戻り値の型は `void` です。

c
void print_hello() {
printf("Hello, world!
");
}


この例では、`print_hello` 関数は文字列を出力するだけで、値を返しません。したがって、戻り値の型は `void` となります。

関数が `void` 型を返す場合、通常は関数の実行中に何らかの副作用（グローバル変数の変更、ファイルへの書き込み、画面への出力など）が発生します。

void ポインタ

C言語やC++では、`void ` 型のポインタを使用できます。これは、任意の型のデータを指すことができる汎用ポインタであり、型情報を失うことなくデータのやり取りが可能になります。`void ` 型のポインタは、ポリモーフィズムを実現するための重要な手段です。

例えば、コールバック関数に任意のユーザー定義データを渡す場合に、`void ` ポインタがよく用いられます。

c
void callback_function(void data) {
// data は任意の型のデータを指すポインタ
// 渡されたデータを適切な型にキャストして処理を行う
}


ただし、関数ポインタの場合は扱いが異なり、`void ` との相互変換は保証されていません。`void`を関数ポインタとして使用する場合は、注意が必要です。

言語ごとの void の扱い

C/C++: `void` は、関数の戻り値の型、ポインタ型、関数の引数リストの明示などに使用されます。関数プロトタイプにおいて、引数なしを表すために `void` を使用することができ、戻り値がないことを明示するために `void` を使用します。初期のC言語では、戻り値の型が明示されていない関数は `int` 型として扱われていました。
Java: Javaでは、`java.lang.Void` クラスが存在しますが、これはインスタンス化できないプレースホルダーとしてのクラスであり、キーワード `void` を表す `java.lang.Class` オブジェクトへの参照を保持するために使用されます。
.NET: .NETには、C#のキーワード `void` に対応する `System.Void` 構造体があります。
ECMAScript: JavaScriptでは、`void` は演算子として使用され、式を評価した結果を `undefined` に変換するために使われます。これは、HTMLのアンカータグ (``) などで、リンクとしての機能を無効化するために使用されることがあります。

html
リンク

注意点

`void` 型は、値が存在しない型であり、値を格納することはできません。したがって、`void` 型の変数や定数を宣言することはできません。
関数が `void` 型を返す場合、その戻り値を使用することはできません。
`void ` ポインタを使用する場合は、指しているデータの型を正しく把握し、適切なキャストを行う必要があります。

まとめ

`void` は、プログラミングにおいて「何もない」状態を表す重要な概念です。関数の戻り値、ポインタ、演算子など、様々な場面で用いられます。`void` を理解することで、より柔軟で安全なプログラムを記述できるようになります。

この記事では、`void` の基本的な概念と、具体的な使用例について解説しました。プログラミング言語によって `void` の扱いが異なる場合もあるため、各言語の仕様を確認するようにしましょう。

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