W・K・C・ガスリー

ウィリアム・キース・チェンバース・ガスリーの研究と業績

ウィリアム・キース・チェンバース・ガスリー（William Keith Chambers Guthrie, W.K.C.Guthrie）は、1906年8月1日にロンドンに生まれたイギリスの古典学者です。彼は主に古代ギリシア哲学の研究で知られ、特にその著書『ギリシア哲学史』は古典学の分野において重要な位置を占めています。ガスリーは1981年5月17日に亡くなりました。

生い立ちと教育

ガスリーはスコットランド人の両親のもとに生まれ、ダリッジ・カレッジを卒業した後、1925年にケンブリッジ大学のトリニティ・カレッジに入学しました。ここではF・M・コーンフォードなどの指導を受け、古典学を専門に学び、トライポスの試験において首席で合格を果たしました。この教育背景が彼の後の研究活動の基盤となりました。

キャリアの初期

1930年以降、ガスリーはケンブリッジピーターハウスにおいてバイフェロー、フェロー、学生監、オレイターといったさまざまな役職を歴任しました。第二次世界大戦中には、1941年から1945年の間、情報部隊の一員として兵役に就きました。この経験は彼の視野を広げ、戦後のキャリアに影響を与えたと考えられます。

戦後の活動

戦後の1946年、ガスリーはケンブリッジ大学の準教授に就任し、様々な名士のオレイターを務めることになります。特に、チャーチルやアトリー、スマッツ、ネルー、アイゼンハワー、モントゴメリーなど、著名な政治家たちの賞賛演説を担当しました。このような高い評価を受けた彼の業績は、学問だけでなく社会全体に影響を与えました。

さらに、1952年にはイギリス学士院のフェローに選出され、ローレンス記念古代哲学教授に就任します。彼はこの役職を1973年まで務め、同時に1957年から1972年の間はダウニング・カレッジのマスターも兼任しました。

学問的業績

ガスリーの主著『ギリシア哲学史』は、1962年から1981年にかけて全6巻が刊行され、ギリシア哲学の体系的な研究として評価されています。この作品は彼のマグヌム・オプス（大作）とも言えるもので、古典学の発展に寄与しました。

また、オルペウス教に関する研究でも業績を残し、幅広い知識を持つ学者として知られています。後の学者であるG・E・L・オーエンが分析哲学を取り入れたのとは対照的に、ガスリーは古典的なアプローチを維持し続けました。

主な著作

ガスリーが執筆した著作は多岐にわたります。中でも注目されるものには以下が含まれます：

• - 『Orpheus and Greek Religion』（1935年、改訂版1952年）
• - 『Aristotle De Caelo』の翻訳、序文、注釈（1939年）
• - 『Greek Philosophers: From Thales to Aristotle』（1950年）
• - 『The Greeks and their Gods』（1950年）
• - 『The Hub and the Spokes』（1953年）
• - 『Protagoras and Meno』、プラトンの対話の翻訳（1956年）
• - 『In the Beginning: Some Greek Views of the Origins of Life and the Early State of Man』（1957年）
• - 『A History of Greek Philosophy』の各巻（1962年から1981年までの間に全6巻）

結論

ウィリアム・キース・チェンバース・ガスリーは、古典学および古代ギリシア哲学の研究に深い影響を与えた学者です。彼の著作は、今なお多くの学生や研究者によって参照されており、その業績は学術界での位置づけを確固たるものにしています。ガスリーの研究は、哲学や教養学の発展に寄与したことは間違いないでしょう。

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