W型8気筒

W型8気筒エンジンの概要

W型8気筒（略称：W8）は、ピストン式内燃機関におけるシリンダー配列の一種で、主にフォルクスワーゲンが手掛けたエンジンです。2024年現在、商業的に展開されているモデルはフォルクスワーゲン・パサート（B5.5）のみで、その開発背景には先進技術と圧倒的なパフォーマンスが息づいています。

開発の背景

W型8気筒の開発には、フォルクスワーゲンの名参謀であるフェルディナント・ピエヒ博士が関わりました。彼のリーダーシップのもと、2001年から2005年にかけて、パサートの最上級モデルに搭載され、高い性能を発揮しました。このエンジンは、独自の設計アプローチを用いており、特にそのコンパクトさが際立っています。

設計と特徴

W8エンジンは、VWが得意とするVR6エンジンを基盤にした設計が施されています。具体的には、V型6気筒から2気筒を減らし、72度のバンク角を持つV型4気筒を二つ組み合わせることで、この独特のシリンダー構成が生み出されました。この設計によって、エンジンの出力とトルク性能が最大化され、他の選択肢と比較しても非常に高い数字を誇ります。

最大排気量は4.0リットルで、最高出力は202 kW（275 PS）を達成し、最大トルクは370 N·m（37.7 kg·m）で2,750 rpm時に発揮されます。このような高出力を持ちながら、W8エンジンは非常にコンパクトであるため、V型6気筒エンジンが収まるスペースにも適合します。

技術的なハイライト

W8エンジンには、吸気効率を向上させるための2ステージ可変長インテークマニホールドが使われており、また、エンジンの振動を軽減するために2本のバランサーシャフトを設けたSOHCシリンダーヘッドも搭載されています。これにより、エンジンはスムーズかつ効率的に動作し、快適な走行を実現します。

生産と市場での立ち位置

製造過程は複雑で、パサートに搭載されたW型8気筒は最上級のフェートンモデルに次ぐ指定クラスとして位置付けられていました。その結果、年間生産台数は約1万台程度に留まりました。2005年にはパサートがフルモデルチェンジを行い、B6モデルに移行しましたが、W型8気筒は新たにラインナップされることはありませんでした。

結論

W型8気筒エンジンは、独自の技術とパフォーマンスを兼ね備えたエンジンとして、フォルクスワーゲンの技術革新の象徴であり、今もなお自動車技術において重要な意味を持っています。

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