W48 (核砲弾)

W48核砲弾の概要

W48は、アメリカ合衆国が開発・配備した核兵器の一種であり、主に155mm榴弾砲から発射できる小型の核砲弾です。この武器は1963年に製造が開始され、1992年には役目を終えました。W48はその特異性から、核兵器としては非常に小型の部類に入ります。

スペック詳細

• - 直径: 155mm (6.1インチ)
• - 長さ: 845mm (33.3インチ)
• - 重量: 58kg (128ポンド)
• - 核出力: TNT換算で72トン（0.072キロトン）

W48の設計には、アルファ型プルトニウムが使用されており、体積657cm³、直径10.8cmの大きさで密度は19.8g/cm³です。このプルトニウムの総量は13キログラムあり、ファットマンの22キロトンよりも多くのプルトニウムが使われていますが、実際の威力は0.072キロトンにとどまります。

効率と設計の課題

W48の低出力は、核分裂反応の効率が非常に悪いことに起因しています。同時期に開発された高性能な核兵器の中には、100キロトンクラスのものも存在するため、13キログラムのプルトニウムを用いながら、W48の出力が実効的に100分の1以下となることは、設計の際に小型化を優先した結果と言えるでしょう。このように効率の悪さを指摘する声は根強く、一般的には「無駄遣いの兵器」と評されています。

さらに、W48は155mmというサイズで実用化された最小の核兵器ですが、技術者のセオドア・ブリュースター・テイラーは105mmの核砲弾が理論的には可能であると主張しています。しかし、実際には105mmの核砲弾は開発されておらず、W48が核砲弾の極限だと言えるかもしれません。

コスト

この核兵器を製造するためには、高価なプルトニウムが大量に必要であり、その結果、コストも非常に高く、一発あたりの価格はおおよそ125万ドルに達するとされています。これらの要因から、W48はその用途とコストを総合的に考慮すると、非常にユニークかつ興味深い兵器と言えるでしょう。今でこそ、この兵器は歴史の中に消えていきましたが、その設計思想や技術的な挑戦は、核技術の進展において忘れられない存在です。

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