W59 (核弾頭)

W59は、アメリカ合衆国が開発した熱核弾頭であり、大陸間弾道ミサイルへの搭載を目的として設計されました。ロスアラモス国立研究所という、アメリカにおける核兵器開発の中枢的研究機関において開発が進められ、1960年代初頭に実戦配備に至っています。

W59の搭載対象となったミサイルは、主にミニットマンI大陸間弾道ミサイルです。当初、スカイボルト空中発射弾道ミサイルへの搭載も計画されていましたが、スカイボルト計画は1962年に中止されたため、W59が実戦配備されたのはミニットマンIのみとなりました。ミニットマンIは、その名の通り、単一の弾頭を有するミサイルであり、W59はその弾頭として、Mk.5再突入体の中に格納されていました。

W59の核出力は、1メガトンと推定されています。これは、広島型原子爆弾の約67倍に相当する破壊力です。また、その物理的特性としては、直径約41.4センチメートル、長さ約121.4センチメートル、重量約249～251キログラムという寸法と重量が記録されています。

信管の種類は、目標への直接衝突による起爆と、空中での爆発の二種類が用意されていました。地上目標への攻撃だけでなく、空中での爆発により広範囲にわたる被害を与えることも可能でした。この多様な攻撃手段は、W59の運用における柔軟性を高めていました。

W59の生産数は、1962年から1963年にかけて150発に達しました。これは、当時のアメリカ合衆国の核戦力における重要な構成要素であったことを示しています。ミニットマンIへの搭載は1969年まで継続され、その後、より高度な核弾頭へと更新されることとなりました。

W59の開発と配備は、冷戦時代の緊張の高まりを背景に、アメリカ合衆国の核抑止戦略にとって重要な役割を果たしました。W59の技術的な特性や運用方法は、当時の核兵器開発の最先端技術を示すものであり、その歴史は冷戦期の核戦略を理解する上で重要な要素となっています。1メガトンという高い破壊力を持つ熱核弾頭は、戦略兵器として強力な威嚇力となり、敵対勢力の攻撃を抑制する役割を担いました。

しかし、W59の開発は、その後の核拡散や軍拡競争といった問題に影響を与えることにもなりました。冷戦終結後、W59は退役し、その存在は歴史の遺物となりました。W59の歴史は、核兵器の技術的進化と同時に、その危険性と国際社会への影響を改めて考えさせるものです。

本稿では、入手可能な情報に基づき記述しておりますが、機密情報や詳細な技術仕様は公開されていません。そのため、記述内容には不確定な部分も含まれる可能性があります。より詳細な情報は、専門文献や公式記録を参照いただくことをお勧めします。

もう一度検索