W72 (核弾頭)

W72 核弾頭の概要

W72は、アメリカ合衆国によって開発された核弾頭で、古いW54核弾頭を回収し、再利用と設計の見直しが行われた結果誕生しました。この弾頭は、より高い出力を持ちながらもコンパクトであることが特徴です。

W54の基礎

W72の基盤となったW54核弾頭は、インプロージョン方式の核分裂弾頭で、プルトニウムを主な材料として使用しています。この弾頭は、最大で250トンの核出力を秘めており、1965年にはその生産が終了していました。このW54の性能を踏まえ、W72の開発が進められました。

再設計の特徴

W72の設計においては、核出力が大幅に向上し、約600トンに達しました。これはW54に比べて約2.4倍の性能向上を意味します。加えて、サイズも一回り大きく、胴体直径は38cm、全長は2.0mとなっています。また、重量は374kgであり、取り扱いにおいても運用の効率を考慮した設計です。

製造と配備

W72の製造は、1970年から1972年の短い期間に行われ、合計で300発が生産されました。この弾頭は触発信管で使用され、主にAGM-62ウォールアイという空対地ミサイルに搭載されています。これにより、アメリカ空軍に配備され、戦略的な運用を行っていました。ミサイルの発射時には、空中での威力を最大限に引き出すための設計が施されています。

退役

W72は、1979年にアメリカ軍の運用から退役しました。これは、冷戦時代における核戦略の変化や新しいミサイルシステムの導入によるもので、時代とともに兵器の役割も進化していった証拠です。

結論

W72は、アメリカの核戦略における重要な一翼を担った兵器であり、W54からの技術的な進化を物語る存在です。その高出力とコンパクトな設計により、戦略的に有用であったものの、やがて冷戦の終息とともにその役割を終えました。

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