W79 (核砲弾)

W79核砲弾の概要

W79は、アメリカ合衆国において開発された核砲弾であり、203mm榴弾砲から発射されることを目的としています。合計で550発が生産されたこの兵器は、アメリカの核戦略において重要な役割を果たしました。特にその開発背景や特性について、以下に詳しく説明します。

開発の背景

W79は、1957年に開発されたW33型203mm核砲弾の後継として位置付けられています。当初はW75という名称で開発が進められていましたが、1973年にそのプロジェクトは中止されました。その後、1975年に新たな戦略として、より限定的な威力を持つ核砲弾の開発が始まりました。これがW79の誕生へとつながったのです。W79はその戦術的な利用価値を高めるために設計され、特に小規模な戦闘や制圧に向けた柔軟な運用が可能です。

仕様

W79の物理的な特性は以下の通りです。長さは44インチ（約112センチメートル）、直径は8インチ（約20センチメートル）、そして重量は200ポンド（約90キログラム）です。このサイズは203mm榴弾砲に装填するのに適しており、携帯性と発射時の安定性が考慮されています。

この核砲弾には大きく分けて二つの模式が存在し、mod0は中性子弾頭、mod1は純粋に核分裂に依存した弾頭です。それぞれの核出力は可変式で、mod0では0.1から1.1キロトン、mod1では0.1から0.8キロトンの範囲となっています。この可変性は、戦術使用における柔軟性をもたらし、必要に応じて威力を調整することが可能です。

技術的な詳細

W79のプライマリー部は線形爆縮方式を採用しており、この技術により効率的な核反応が実現されています。使用される核物質にはプルトニウムが選ばれ、この選択は弾頭のコンパクトさと効率性を高める要因の一つとされています。

終焉と影響

W79の運用は1980年代まで続きましたが、1992年には地上発射式戦術核兵器の配備中止方針に伴い、退役を迎えました。この決定は冷戦の終結を象徴し、アメリカの核戦略にも大きな影響を与えました。

特にW79は、その開発と使用において、核戦争という厳しい現実と向き合う中で、戦術核兵器の役割の変化を示す存在となりました。これにより、核兵器の運用に関する議論が進むと共に、国際的な核軍縮の流れを促進する契機となったのです。

まとめ

W79核砲弾は、アメリカの核戦略史において特異な地位を占めており、その開発、仕様、歴史は今なお注目されています。核兵器の適切な運用と戦術的利用の重要性を示すこの兵器は、冷戦期における軍事戦略の変遷に深く関連しています。

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