W85 (核弾頭)

W85核弾頭についての詳細

W85は、アメリカ合衆国によって開発された核弾頭であり、主にMGM-31パーシングII弾道ミサイルに搭載されることを目的としています。このミサイルは1973年から開発が始まり、戦略兵器としての役割を果たすために設計されました。W85は、当初より軟目標攻撃用の弾頭として開発され、実際の運用において重要な位置を占めることとなります。

開発背景

MDB-31パーシングIIは射程と精度に優れた中距離核弾道ミサイルで、冷戦時代の核抑止力の一翼を担っていました。このミサイルは、アメリカおよびその同盟国の安全保障を確保するために戦略的な展開がなされていました。弾頭としてW85の開発が進む中、同じパーシングII用に検討されていた硬化目標攻撃用のW86も存在しましたが、後にW86の開発は中止され、W85が唯一の弾頭となりました。

物理的特性と性能

W85のサイズは直径約13インチ（約33cm）、長さは42インチ（約107cm）で、これは円筒形のデザインとなっています。形状は同じくB61の派生型です。W85は可変威力型の核弾頭であり、その出力は5キロトンから80キロトンまで調整可能です。これにより、攻撃の狙いに応じた威力を選択することができ、柔軟な運用を可能にしています。

弾頭は触発型と空中爆発用の信管を備えており、命中対象に対する効果を最大限に引き出す設計がなされています。1983年から1986年にかけて、合計で120発のW85が生産され、これらはMGM-31パーシングIIミサイルに搭載されて配備されました。

廃棄と再利用

しかし、W85の運命は冷戦終結後の政治情勢に左右されました。1987年に発効した中距離核戦力全廃条約に基づき、1991年までにMGM-31 パーシングIIミサイルは廃棄されることになります。この結果、W85も配備から外されることになり、これまでの運用を終了しました。その際、弾頭に搭載されていた核物質は、B61用の弾頭に再利用されています。

W85は、アメリカの冷戦期における核戦略の一環として重要な役割を果たした核弾頭であり、今後の核兵器政策を考える上でもその歴史的な意義は大きいと言えるでしょう。

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