WASEDA-SAT2

WASEDA-SAT2: 早稲田大学の超小型人工衛星

WASEDA-SAT2は、早稲田大学の宮下研究室と山川研究室が共同で設計・開発した超小型人工衛星です。このプロジェクトは、主に学生約30名の参加により実現され、開発には約800万円の費用がかかりました。2010年5月21日、金星探査機「あかつき」の相乗り衛星としてH-IIAロケットに搭載され、打ち上げが行われました。

概要

この衛星の形状は1辺が約10cmのキューブ型で、重さは約1.15kgです。WASEDA-SAT2には、衛星の側面にパドルが4面装備されており、これらは軌道投入後に自動で展開するように設計されています。具体的には、オンボードコンピュータの電熱線によってパドルを固定する鉛線が焼き切られた後、パドルが開きます。展開されたパドルはその後操作されることはなく、空気抵抗を利用して衛星の姿勢を安定させるかどうかを加速度センサと地磁気センサで観測します。

また、WASEDA-SAT2では、LED表示器を使ったデータ通信実験を行いました。地上から送られたQRコードを表示し、それを小型カメラで撮影してデータを地上に送信する仕組みです。

打ち上げと運用の経過

WASEDA-SAT2を搭載したH-IIAロケット17号機は、もともと2010年5月18日に打ち上げられる予定でした。しかし、天候不良により打ち上げが延期され、3日後の5月21日6時58分22秒（JST）に成功裏に打ち上げられました。打ち上げ後、ロケットからは正常に切り離されましたが、残念ながらそこからの通信が確保できないという問題に直面しました。

打ち上げからしばらくの間、衛星からの微弱な電波を受信することはできたものの、その信号がWASEDA-SAT2からのものかどうかは不明でした。2010年6月以降、公式ウェブサイトでのアナウンスも途絶えてしまい、6月7日には完全に通信が途絶えたようです。その後、JAXAが開催した「第3回 相乗り小型副衛星ワークショップ」において、「最後まで確認できた電波はなかった」と報告されています。

H-IIA17号機に搭載された他の小型衛星と同様に、WASEDA-SAT2も短命な運用期間の中で、長くても同年の8月中旬には大気圏に再突入すると推定されていました。実際、NSSDCやReal Time Satellite Trackingによれば、2010年7月12日に軌道減衰が確認され、衛星は落下したとされています。

このプロジェクトを通じて、早稲田大学の学生たちは貴重な経験を積んだものの、WASEDA-SAT2は運用には成功しなかったことから、より多くの技術的な課題に直面したことが交易された重要な事例と言えるでしょう。

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