WINO

WINO（ワイノ）とは

WINOは、1990年代のUKロックシーン、特にブリットポップに影響を受けた日本の5人組ロックバンドです。その音楽性は、マッドチェスターの流れを汲むグルーヴ感と、ブリットポップの親しみやすいメロディーが融合した独特のサウンドを特徴としています。

1995年、明治学院大学在学中の吉村潤（Vo）、外川慎一郎（G）を中心に、久永直行（G）が加わり「ボグ・マイトルスター」として結成。その後、川添宏之（B）、黒沼征孝（Dr）が加入し、1996年に現在のWINOに改名しました。インディーズでの活動を経て、1998年にメジャーデビュー。1999年には1stアルバム『Useless Music』をリリースし、フジロックフェスティバルにも出演するなど、その勢いを増していきました。

2001年には、アニメ「HUNTER×HUNTER」のオープニングテーマとなった「太陽は夜も輝く」がスマッシュヒット。しかし、その後の契約関係によりメジャーでの活動が困難となり、2002年に4thアルバム『EVERLAST』のリリースツアー終了後、惜しまれつつ解散しました。2024年2月、再始動を発表し、再び音楽シーンに姿を現しました。

メンバー

吉村潤（Vocal）：バンドの楽曲の多くを作詞作曲。イギリスとオランダでの幼少期経験を持ち、その国際的な感性が音楽に影響を与えています。髪型を頻繁に変えることでも知られ、バンド活動中には既婚者で一児の父でもありました。現在はソロプロジェクト『JUN』で活動。
久永直行（Guitar）：リードギター担当。オダギリジョーと高校時代にバンドを組んでいた過去があります。解散後は自身のレーベル「CITY RECORDS」を立ち上げ、ソロ活動やプロデュース業も行っています。愛称は「チョッコー」。
外川慎一郎（Guitar）：リズムギター担当。ソロプロジェクトTOGUAR（後にThe Creeplands）で活動。THE HIGH STREETSのベーシストとしても活動しています。
川添宏之（Bass）：愛称は「ゾエ」。
黒沼征孝（Drums）：愛称は「ジョー」。外川のプロジェクトThe Creeplandsにも参加しています。

バンドの歴史

1995年：ボグ・マイトルスター結成。
1996年：WINOに改名。下北沢のライブハウスを中心に活動。
1998年：インディーズコンピレーションアルバムに参加。渡英しレコーディング。
1998年9月：メジャーデビュー。
1999年：1stアルバム『Useless Music』リリース。フジロックフェスティバルに出演。
2000年：2ndアルバム『WINO』リリース。
2001年：3rdアルバム『Dirge.No9』リリース。「太陽は夜も輝く」がヒット。
2002年：4thアルバム『EVERLAST』リリース。解散。
2024年：再始動。

バンド名の由来

バンド名は、ボーカルの吉村潤が「アルコール中毒、ワイン中毒」を意味する英単語「wino」に惹かれ、「中毒性のある音楽を持ったバンド」という意味を込めて命名しました。しかし、「ウィーノ」と誤読されることが多く、CDショップでは「う」のコーナーに置かれることもありました。

音楽性

80年代半ばから90年代のUKロック、特にマッドチェスターの影響を色濃く受けた、太いグルーヴ感のあるサウンドが特徴です。ブリットポップの親しみやすいメロディーも持ち合わせています。吉村は、ラーズやキャストからの影響を公言しており、ザ・ストーン・ローゼズやオアシスとは「原体験ではない」としています。

デビュー当初から、海外バンドへの憧憬を隠さず、そのサウンドスタイルは音楽業界から注目を集め、日本のロックファンからも歓迎されました。しかし、海外ロックを好むリスナーからは、音楽的ルーツが当時流行していたイギリスのバンドを彷彿とさせるとして批判的な意見もありました。

音作り

楽曲制作は、吉村が持ち込んだデモテープを基に、メンバー全員でスタジオで音を出しながら決めていくスタイルでした。

ナンバーナインとの関係

裏原宿系ブランド「ナンバーナイン」のデザイナー宮下貴裕がWINOのファンであり、メンバーがステージ衣装として着用することも多くありました。宮下自身がボーカルを務めるバンドTHE HIGH STREETSには、久永と外川がメンバーとして参加しています。

オダギリジョーとの関係

オダギリジョーは、高校時代に久永とバンドを組んでいた過去があり、WINOの音楽を初めて聴いた際にその完成度に驚いたと語っています。また、自身の連載でWINOのTシャツを着用した写真を掲載したこともあります。久永のソロアルバムにはゲストとして参加しています。

シャーラタンズのオープニングアクト

1999年には、ザ・シャーラタンズのオープニングアクトを4公演務めました。

メンバーのエピソード

メンバー同士は非常に仲が良く、解散後も交流が続いています。結成当初は演奏が下手で、ライブハウスに出演させてもらえないこともあり、オーディションのないライブハウスを選んで出演していたというエピソードがあります。

交流のあるバンド、ミュージシャン

BUGY CRAXONE、Grapevine、KAGAMI DJ、古明地洋哉などが挙げられます。特にBUGY CRAXONEとは、エンジニアを通じて知り合い、ライブでの共演や楽曲でのコラボレーションをしています。

ディスコグラフィ（一部）

アルバム
Useless Music (1999)
WINO (1999)
Dirge.No9 (2001)
EVERLAST (2002)
シングル
Devils Own[mix No.4] (1998)
太陽は夜も輝く (2000)

主なライブ

FUJI ROCK FESTIVAL '99
SPACE SHOWER TV SWEET LOVE SHOWER 1998

参考文献

オリコンスタイル
バンド・スコア WINO Useless Music
ロッキング・オン・ジャパン No.215
各メンバー公式サイト

外部リンク

* SPEEDSTAR RECORDS

WINOは、その音楽性とメンバーの個性が合わさり、日本のロックシーンに独特な足跡を残しました。再始動後の活動にも注目が集まります。

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