ザ・ストーン・ローゼズ

ザ・ストーン・ローゼズ：マッドチェスターの象徴、その栄光と軌跡

ザ・ストーン・ローゼズ（The Stone Roses）は、1983年にマンチェスターで結成されたロックバンドです。ニュー・オーダー、ハッピー・マンデーズといったバンドと共にマッドチェスター・ムーブメントの中心的存在として活躍し、その音楽性は後のブリットポップや音楽シーンに大きな影響を与えました。

結成から初期の活動

幼馴染のイアン・ブラウン（ボーカル）とジョン・スクワイア（ギター）を中心に結成されたバンドは、アンディ・カズンズ（リズムギター）とピート・ガーナー（ベース）を加え、初期のラインナップを形成しました。その後、ドラマーのサイモン・ウォルステンクロフトが脱退し、レニ（アラン・レン）が加入したことで、バンドの音楽性が確立しました。

バンド名の由来には諸説ありますが、ローリング・ストーンズとザ・ジャムへの敬意から生まれたという説や、硬い「石」と柔らかい「薔薇」の組み合わせであるという説が有力です。

初期の音楽性はパンク色が強く、攻撃的なサウンドが特徴でしたが、後の1stアルバムに収録される「I Wanna Be Adored」のような幻想的な曲もこの頃に書かれており、音楽的な過渡期にありました。プロデューサーのマーティン・ハネットとのレコーディングはメンバーの意に沿わずお蔵入りとなりましたが、このセッションから生まれた「So Young/Tell Me」がデビューシングルとしてリリースされました。

その後、カズンズが脱退し、4人編成となったバンドは、セカンドシングル「Sally Cinnamon」を発表。それまでのノイズを多用したサウンドから、バーズのようなメロディを重視した楽曲へと変化を遂げました。

ベーシストのガーナー脱退後、1987年にマニ（ゲイリー・マンフィールド）が加入し、おなじみのラインナップが完成。翌年にはピーター・フックのプロデュースによるシングル「Elephant Stone」をリリースし、シルヴァートーンとレコード契約を結び、アルバム制作を開始しました。

ファーストアルバムと成功

1989年初頭、ジョン・レッキーをプロデューサーに迎え制作された1stアルバム『The Stone Roses』は、当初は反響が小さかったものの、NME誌のシングル・オブ・ザ・ウィークに選ばれたことで注目を集め、瞬く間にイギリス全土にその名が広まりました。アルバムは全英アルバムチャートで32位まで上昇し、シングルカットされた「She Bangs the Drums」は全英インディーチャート1位を獲得しました。

BBCの番組出演中に停電が起きた際、イアンが「アマチュア！」と罵った事件は、良くも悪くもバンドの知名度を上げる要因となりました。同年秋には初来日公演も行っています。

シングル「Fools Gold/What the World Is Waiting For」は全英シングルチャートでトップ10入りを果たし、年末には多くの音楽雑誌でベストニューカマーに選出されました。

1990年には、元所属レーベルの再リリースに抗議しオフィスを破壊した事件でメンバーが逮捕されるも、スパイク・アイランドでの野外ライブは大成功を収めました。このライブは「バギー世代のウッドストック」と称され、バンドのキャリアのピークとなりました。

レーベルとの契約問題により活動が停滞する時期もありましたが、1991年にゲフィンと契約し、新たなスタートを切りました。

セカンドアルバムから解散へ

裁判やメンバーの環境変化により、バンドは長い沈黙期間に入ります。1stアルバムから5年半、最後のライブから4年半が経ち、音楽シーンはマッドチェスターからブリットポップへと移り変わっていました。

1994年、2ndアルバム『Second Coming』がリリースされました。このアルバムはジョン主導で制作され、レッド・ツェッペリンからの影響が色濃く反映された作品でしたが、音楽性の変化に対する評価は賛否両論でした。シングル「Love Spreads」は2位を記録しましたが、メディアからは酷評されることもありました。

翌年、ドラマーのレニが突然脱退し、ロビー・マディックスが後任として加入しました。ツアー中にジョンの怪我が発生し、日本ツアーやグラストンベリー・フェスティバルへの出演がキャンセルされ、バンドは再び危機に陥ります。

1996年、ジョンが脱退し、アジズ・イブラヒムが加入しました。しかし、同年のレディング・フェスティバルでのパフォーマンスは酷評され、観客からもブーイングが浴びせられました。その結果、イアンとマニは10月に解散を発表し、ストーン・ローゼズの歴史に幕を閉じました。

解散後の動向と再結成

解散後、イアン・ブラウンはソロ活動を開始し、ジョン・スクワイアはザ・シーホーセズを結成しましたが後に解散。その後画家としての活動が中心になりました。マニはプライマル・スクリームに加入し、レニはThe Rubを結成しましたが、作品をリリースすることなく解散しました。

再結成の噂が浮上するも、メンバーはこれを否定していましたが、2011年、イアンとジョンが15年ぶりに会話を交わしたことをきっかけに再結成が発表されました。

2012年には、マンチェスターのヒートンパークで再結成ライブを行い、22万人を動員。フジロック・フェスティバルにも出演し、成功を収めました。

2016年には22年ぶりとなる新曲を発表しましたが、2019年にジョンがバンドの再度の終焉を認め、ザ・ストーン・ローゼズは再び解散することとなりました。

音楽的影響とメンバー

ザ・ストーン・ローゼズは、ハッピー・マンデーズらと共にマッドチェスター・ムーブメントを牽引し、オアシスやブラーといったブリットポップバンドに多大な影響を与えました。

主要メンバーは、イアン・ブラウン（ボーカル）、ジョン・スクワイア（ギター）、マニ（ベース）、レニ（ドラム）で、他にアンディ・カズンズ、ピート・ガーナー、ロビー・マディックス、アジズ・イブラヒムなどが在籍していました。

ディスコグラフィー

ザ・ストーン・ローゼズの主な作品は、1stアルバム『The Stone Roses』、2ndアルバム『Second Coming』をはじめ、『Turns Into Stone』『The Very Best of the Stone Roses』などのコンピレーションアルバムが挙げられます。

シングルとしては、「So Young」、「Sally Cinnamon」、「Elephant Stone」、「Made of Stone」、「She Bangs the Drum」、「Fools Gold」、「One Love」、「Love Spreads」などが知られています。

映像作品

『Blackpool Live』『The Complete Stone Roses』『The Stone Roses the DVD』といった映像作品もリリースされており、バンドの歴史を振り返ることができます。

ザ・ストーン・ローゼズは、短い活動期間ながらも、その革新的な音楽性とカリスマ性で、ロック史に大きな足跡を残しました。彼らの音楽は、今もなお多くのファンに愛され続けています。

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