WIRE (人工衛星)

WIRE (Wide Field Infrared Explorer) について

WIRE（広域赤外線探査機）は、1999年3月5日にペガサスロケットによって高度409kmから426kmの極軌道に打ち上げられたNASAの人工衛星です。この衛星は、全天の赤外線観測を行い、特にスターバースト銀河や原始銀河の観測を目的として設計されました。

開発と運用

研究拠点はカリフォルニア州パサデナにある赤外線処理分析センター（IPAC）に置かれ、運営、結合、試験はメリーランド州のゴダード宇宙飛行センターで行われました。望遠鏡と冷却装置は、ユタ州の航空宇宙工学研究所で製造されました。

計画の失敗と予期せぬ成果

打ち上げ直後、宇宙船の開口部カバーが予定より早く脱落するという不具合が発生しました。この結果、固体冷却水素が喪失し、当初予定していた赤外線観測は不可能となってしまいました。しかし、搭載されていた恒星追跡装置は正常に機能し、長期にわたり明るい恒星の光度を正確に測定することができました。この予期せぬ成果は、星の内部構造を研究する星震学の発展に大きく貢献することとなりました。

後継機とWIREの終焉

WIREが当初目指していた観測は、2009年12月14日に打ち上げられ、2010年1月14日から稼働を開始した後継機である広域赤外線探査衛星（WISE）によって達成されました。WIREは2011年5月10日に大気圏に突入し、消滅しました。

主な貢献

• - 星震学への貢献: 当初計画とは異なりましたが、恒星追跡装置による正確な光度測定は、星震学の発展に大きく貢献しました。
• - 技術的な教訓: WIREの失敗は、宇宙ミッションにおける設計と打ち上げの重要性を改めて示す教訓となりました。

関連情報

• - 宇宙望遠鏡の一覧

- IRAS（1983年）
- WISE（2010年）
- WFIST（2020年予定）

外部リンク

• - IPAC/Caltech - WIRE

出典

• - Dave Shupe, Russ Laher, Joe Mabry, Tom Barlow (2006年4月28日). “Wide Field Infrared Explorer (WIRE)”. JPL IPAC/NASA. 2008年11月22日]閲覧
• - Darrell R. Branscome, et al. (1999年6月8日) (PDF). WIRE Mishap Investigation Board Report. NASA. [ftp://ftp.hq.nasa.gov/pub/pao/reports/1999/wire_summary.pdf [2008年12月8日]閲覧
• - UCB Astronomer Salvages Disabled NASA Satellite for Stellar Research. UCO Press Releases (1999年7月7日). [2011年1月21日]閲覧

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