Web (ウェブブラウザ)

GNOME Web（グノーム ウェブ）、旧名 Epiphany（エピファニー）は、GNOMEデスクトップ環境向けの標準ウェブブラウザです。WebKitレンダリングエンジンを採用し、シンプルで直感的な操作性を重視して設計されています。GNOME環境との親和性が高く、ツールキットにはGTK3が使用されています。

特徴

シンプルで使いやすいインターフェース: ユーザーがウェブブラウジングに集中できるように、洗練されたインターフェースを提供します。
高機能なブックマーク: トピックごとに整理できるブックマーク機能を搭載しており、一つのページを複数のトピックに関連付けることが可能です。
GNOMEとの統合: GTK3ツールキットを使用しており、GNOMEデスクトップ環境とシームレスに統合されています。
WebKitエンジン: レンダリングエンジンとしてWebKitを採用し、高速なページ表示と高い互換性を実現しています。

歴史

GNOME Webは、初期にはEpiphanyという名称で開発されていました。当初はMozillaのGeckoレイアウトエンジンを使用していましたが、開発途中でWebKitへの移行が決定されました。

Geckoエンジン時代: Epiphany 2.26.3まではGeckoをサポートしていましたが、それ以降のリリースではWebKitエンジンのみをサポートしています。
WebKitへの移行: 2008年にWebKitへの移行が開始され、2009年のGNOME 2.28リリースで完了しました。
拡張機能: 以前はPythonによる拡張機能がサポートされていましたが、Epiphany 2.28以降はSeedによる拡張機能がサポートされています。
名称変更: 2012年のバージョン3.4から、名称がWebに変更されました。

リリース履歴

2002年12月25日: Epiphany 0.4 初回リリース
2003年4月13日: Epiphany 0.5
2003年5月4日: Epiphany 0.6
2003年6月7日: Epiphany 0.7
2003年7月13日: Epiphany 0.8
2003年8月22日: Epiphany 0.9 (バグ修正のみ)
2003年9月8日: Epiphany 1.0 リリース
2004年3月15日: Epiphany 1.2 リリース
2004年9月14日: Epiphany 1.4 リリース
2005年3月9日: Epiphany 1.6 リリース
2005年9月15日: Epiphany 1.8 リリース
2006年3月12日: Epiphany 2.14 リリース (GNOMEのメジャーバージョンナンバーに合わせる)
2006年9月3日: Epiphany 2.16 リリース
2007年3月14日: Epiphany 2.18 リリース
2007年9月19日: Epiphany 2.20 リリース (WebKitへの移行開始)
2008年3月12日: Epiphany 2.22 リリース
2008年9月24日: Epiphany 2.24 リリース
2009年3月31日: Epiphany 2.26 リリース (Geckoサポートの最終版)
2009年9月24日: Epiphany 2.28 リリース
2010年3月31日: Epiphany 2.30 リリース
2010年9月29日: Epiphany 2.32 リリース
2011年4月6日: Epiphany 3.0 リリース (GTK+3およびGNOME3系統へ移行)
2011年9月28日: Epiphany 3.2 リリース
2012年3月28日: Web 3.4 リリース (名称がWebに変更)

Galeonからのフォーク

GNOME Webは、当初Galeonというブラウザからフォーク（派生）して開発されました。Galeonの開発者であったMarco Pesenti Grittiは、Galeonの新機能に関する意見の不一致から、Epiphanyを開発しました。GNOMEプロジェクトがヒューマン・インターフェース・ガイドライン（HIG）を適用し、ユーザーインターフェースの単純化を推進したことも、Galeonからのフォークの一因となりました。Galeonがパワーユーザー向けであったのに対し、EpiphanyはGNOME HIGに従い、よりシンプルなユーザーインターフェースを目指しました。

レンダーエンジンの変遷

初期のEpiphanyは、MozillaのGeckoレイアウトエンジンを使用していましたが、後にWebKitへの移行を決定しました。Geckoバックエンドに関連する問題に対処するため、WebKitが代替エンジンとして採用されました。2008年4月には、Geckoを使用したビルド機能が削除され、WebKitのみをサポートする方針が発表されました。2009年9月には、GNOME 2.28の一部として、WebKitへの移行が完了しました。

外部リンク

Apps/Web - GNOME Wiki!
Epiphany blog

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