WebGIS

WebGIS（ウェブGIS）とは

WebGISとは、インターネット上で地理情報システム（GIS）を利用できるようにしたものです。従来のGISが特定のソフトウェアを必要とするのに対し、WebGISはWebブラウザを通じてアクセスできるため、より多くの人々が地理情報を手軽に利用できるようになりました。

WebGISの特徴

WebGISの主な特徴は以下の通りです。

情報提供の容易さ: インターネットを通じて情報を公開できるため、特定の地域やテーマに関する地理情報を広く一般に提供できます。
アクセスの容易さ: Webブラウザがあれば特別なソフトウェアをインストールする必要がないため、誰でも手軽に利用できます。
利用の簡便さ: 従来のGISソフトウェアに比べて操作が簡単で、直感的なインターフェースを備えていることが多いです。

一方、WebGISには以下のような制約もあります。

細部の作業の困難さ: 従来のGISソフトウェアに比べて高度な分析や編集作業は難しい場合があります。
データ量の制約: 処理できるデータ量には制限があるため、大規模なデータセットの扱いは困難な場合があります。

従来のGISソフトウェアを「するGIS」と表現するならば、WebGISは主に情報の閲覧に特化しているため「みるGIS」と表現することができます。

WebGISの経緯

WebGISの開発は1990年代に始まり、民間企業での利用が進みました。インターネットの普及とともに、地理情報の共有と活用がますます重要になり、WebGISは急速に発展しました。

具体例

WebGISの代表的な例としては、以下のものが挙げられます。

Web地図: Google マップ、Yahoo!地図などのオンライン地図サービスは、WebGISの最も身近な例です。地図の表示だけでなく、経路検索、店舗情報、ストリートビューなどの機能も提供しています。
地理院地図: 国土地理院が提供する地図サービスで、地形図や空中写真など、専門的な地理情報を提供しています。
今昔マップ on the web: 古い地図と現在の地図を重ねて表示できるサービスで、地域の変遷を視覚的に捉えることができます。

これらの例からわかるように、WebGISは様々な分野で活用されています。一般のユーザーが日常的に利用する地図サービスから、専門的な地理情報を提供するサービスまで、幅広いニーズに対応しています。

まとめ

WebGISは、インターネットを通じて地理情報を手軽に共有・活用できる強力なツールです。情報の提供や閲覧が容易である一方、高度な分析やデータ処理には制限があります。今後は、より高度な機能やデータ処理能力が実装され、WebGISの活用範囲はさらに広がることが予想されます。

参考文献

安倉良二「WebGISで身近な地域のいまむかしをみる」『地理』第64巻第9号、2019年、40-49頁。
谷謙二 著「地理情報システムを使いこなす」、竹中克行 編『人文地理学への招待』ミネルヴァ書房、2015年、221-237頁。ISBN 978-4-623-07229-3。
* 村山祐司 著「地理情報システムと地理情報科学の歴史」、浅見泰司・矢野桂司・貞広幸雄・湯田ミノリ 編『地理情報科学 GISスタンダード』古今書院、2015年、8-15頁。ISBN 978-4-7722-5286-7。

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