WebGPU

WebGPUとは

WebGPUは、Webブラウザ上で高度な3Dグラフィックスと計算処理を可能にする、次世代のWeb標準APIです。従来のWebGLの課題を克服し、より効率的で柔軟なグラフィックス処理を目指しています。このAPIは、Apple、Mozilla、Microsoft、Googleなど、多くの主要なテクノロジー企業が協力して開発を進めています。

WebGLとの違い

WebGLが既存のネイティブAPIを直接ポートするアプローチだったのに対し、WebGPUはVulkan、Metal、Direct3D 12といった最新のグラフィックスAPIの概念をベースに設計されています。これにより、より高いパフォーマンスと柔軟性を実現しています。

歴史

WebGPUの開発は、2016年にGoogleがWebGLワーキンググループで発表した「Explicit web graphics API」というプレゼンテーションから始まりました。このプレゼンテーションでは、WebGLを置き換える新しいAPIの基本的な概念が検討されました。その後、Khronosが「WebGL Next」の概念について議論するIP-freeミーティングを主催し、GoogleがNXTというプロトタイプを披露しました。NXTは、Vulkan、Direct3D 12、MetalといったネイティブAPIの概念を取り入れたものでした。また、AppleとMozillaもそれぞれ独自のプロトタイプを開発しました。

W3Cのワーキンググループ

2017年2月、AppleのWebKitチームはAPI設計のためのW3Cコミュニティグループの設立を提案し、同時に「WebGPU」という名称を提案しました。この提案はコミュニティグループに受け入れられ、将来の標準の仮称としても採用されました。W3Cの「GPU for the Web」コミュニティグループは2017年2月16日に設立され、Apple、Google、Mozillaがこの領域での実験を行いました。その後、MozillaもVulkanの設計をベースにした提案を提出しました。2018年6月には、GoogleのChromeチームが将来のWebGPU標準の実装を開始する意向を表明しました。

技術

WebGPUは、SPIR-Vへ容易に翻訳可能なWGSL（WebGPU Shading Language）という独自のシェーディング言語を使用しています。この選択は、Appleによるtextual WebMetal、Apple Safariによるtextual WebHLSL/WSL、MozillaによるバイナリSPIR-Vという3つの提案の妥協案です。

実装状況

WebGPUは、主要なブラウザで実装が進んでいます。以下に実装状況を示します。

Google Chrome: バージョン113以降で対応。
Mozilla Firefox: SPIR-Vを使用したWebGPUをサポートしており、WGSLフロントエンドの開発が進んでいます。
Safari: Web Shading Language (WSL) を使用したWebGPUをSafari Technology Previewでサポートしています。

関連技術

WebGPUは、以下の技術と関連があります。

Direct3D 12
Khronos Group
Metal (API)
OpenGL
Vulkan (API)
WebCL
WebGL
ウェブプラットフォーム

参考資料

公式ウェブサイト
WebGPU 仕様書
gpuweb - GitHub
WebGPU API Proposal for Apple Webkit in 2017
GPU on the Web Community Group at W3C

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