WebVR

WebVRについて

WebVR（ウェブブイアール）は、ウェブブラウザを通じてバーチャルリアリティ（VR）体験を提供するために開発されたJavaScriptのAPIです。この技術は、VRデバイスの位置や方向、加速度に関するデータを取得できるため、開発者にとって非常に便利なツールとなっています。しかし、このWebVRは時代の変化に合わせてWebXR Device APIへと移行が進められています。

歴史

WebVRの歴史は、2014年の春に始まります。当初はVladimir Vukićevićによる提唱がきっかけで、2016年にはWebVR API version 1.0、そして2017年にはversion 1.1がリリースされました。しかし、開発が終息を迎え、WebXR Device APIへとその役割が移行することになります。2019年4月にはWebXRの初版が公開され、同年12月にはGoogle Chromeがこの新しいAPIをデフォルトでサポートするようになりました。その結果、Chrome80バージョン以降、WebVR APIの廃止が予告されています。

特徴

開発者向けの利点

WebVRを利用することで、開発者は簡単に外部デバイスとしてVRヘッドマウントディスプレイ（HMD）を認識させることができます。また、ジャイロセンサーやポジショントラッキング機能を使用すると、ユーザーの位置や姿勢、そして目の瞳孔間距離などの細かいデータを収集できるのです。特にコントローラーの情報については、WebVR APIではなくGamepad APIを通じて取得されます。

利用者の体験

利用者はWebVR APIを活用することで、特別なアプリケーションをインストールすることなく、ウェブブラウザから直接VRコンテンツを楽しむことができます。これにより、URLを共有するだけで他の人にも手軽に体験を提供できるという利点があります。この方式は、従来のVR体験が必要とした特定のハードウェアから解放されており、ユーザーの選択肢を広げるものです。

ただし、VRは3Dを扱う技術であるため、モバイルデバイスやスタンドアロンHMDからアクセスした場合、処理が追いつかずに負荷がかかることがあります。とはいえ、2020年に始まった5Gの利用により、サーバーサイドでの3Dレンダリング処理が実施され、モバイル端末に対して処理結果を表示できる仕組みが整備されたことで、より低スペックな端末でもVRを楽しめる可能性が高まっています。

セキュリティへの配慮

WebVRはデバイスの動きや向きの情報を取得できるため、ユーザーのプライバシーに配慮した取り組みが進んでいます。例えば、2019年3月25日にリリースされたiOS 12.2では、Safariの設定で「モーションと画面向きのアクセス」がデフォルトでオフになりました。この設定により、ユーザーは自ら同意するか、ブラウザが起動した後にポップアップで同意を求められることになります。

WebVRを体験できる作品

いくつかの著名な作品がWebVRで提供されています。たとえば、「Pepsi Go Back」や「Access Mars」、「Blair Witch」といったコンテンツがあり、VRの魅力を体感できる機会を提供しています。

対応プラットフォーム

WebVRを利用するためには、特定の開発プラットフォームやブラウザが必要です。主要な開発プラットフォームには、Three.jsやA-Frame、PlayCanvas、React 360、Hubsなどがあり、ブラウザとしてはFirefox Nightly、Samsung Internet for Gear VR、Microsoft Edge、Oculus BrowserなどがWebVRに対応しています。

結論

WebVRはVR技術をウェブに普及させるための重要なステップでしたが、現在はその進化を経てWebXR Device APIへの移行が進められています。これにより、今後さらに多様なVR体験が提供される期待が高まっています。

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