Wikipedia Zero

ウィキペディア・ゼロ（Wikipedia Zero）

ウィキペディア・ゼロは、主に発展途上市場においてウィキペディアへのアクセスを携帯電話を通じて無料で提供することを目的としたウィキメディア財団のプロジェクトです。この取り組みは、2012年にスタートし、多くの国で利用者が無料で知識を得られるようになることを目指しました。プロジェクトは2018年に終了しましたが、その歴史や影響は今なお語られています。

プロジェクトの背景

発展途上国では、高速インターネットインフラが整備されていない地域が多く、一般的に携帯電話を通じて通信されることが多いです。しかし、携帯電話のデータ通信料は高いため、特に教育や情報アクセスが重要な地域において、ウィキペディアのような無料の知識源に簡単にアクセスできないと言う問題がありました。

こうした背景から、ウィキメディア財団は発展途上国の利用者がウィキペディアにアクセスできるようにするために、モバイル通信会社と提携し、データ通信料を無料にするプロジェクトを開始しました。これにより、数億の利用者が知識にアクセスできる足掛かりを提供しました。

主な展開と成果

ウィキペディア・ゼロは、2012年にマレーシアで始まり、その後、タイ、サウジアラビア、インドなど、さまざまな国へと拡大していきました。2013年には59カ国、67の通信事業者と契約を結び、多くの人々がこのサービスを利用できるようになりました。また、2013年には、サウス・バイ・サウスウエストのインタラクティブ・アワードにおいて、積極行動主義部門で受賞するなど、その取り組みが評価されました。

プロジェクト終了の背景

しかし、ウィキペディア・ゼロには長年にわたりネットワーク中立性に反しているとの批判が寄せられていました。特定のサービスは無料で提供される一方で、他のサービスは有料という状況は通信業界全体における公平性を損なう可能性があったためです。2018年2月、ウィキメディア財団はウィキペディア・ゼロの全プロジェクトを2018年末までに終了するとの声明を発表しました。

反響や影響

このプロジェクトは、情報へのアクセスを広げるという目的がある一方で、ネットワーク中立性を侵害するという意見も根強くありました。チリの電気通信当局は、ウィキペディア・ゼロやFacebook Zeroなどのゼロ料金サービスを中止するよう命じました。また、電子フロンティア財団などの団体は、無料サービスの提供が将来的に情報の自由な流通を妨げる危険性があると指摘しました。

ウィキメディア財団の関係者も、ネットワーク中立性についての懸念を公にし、地域ごとの異なる状況を考慮した新たなアプローチが必要であると強調しました。このような議論を通じて、ウィキペディア・ゼロの存在は、情報アクセスの自由とネットワーク中立性の両立を考える上で重要なケーススタディとなっているのです。

結論

ウィキペディア・ゼロは、発展途上国の人々に無料で情報を提供するという大きな意義を持ちながらも、その実施方法に関して多くの論争を呼びました。このプロジェクトがどのように展開され、どのように終止符を打ったのかは、今後の情報アクセスの在り方や通信政策に対する重要な教訓を含んでいます。

もう一度検索