Winny (2023年の映画)

映画『Winny』について

『Winny』は、2023年3月10日に公開された日本映画で、Libertasが制作を手掛けています。この作品は、金子勇が開発したPeer to Peer（P2P）技術を用いたファイル共有ソフト『Winny』を巡る冤罪事件を描いた劇映画です。松本優作が脚本と監督を務め、松本と岸建太朗が共同で脚本を手掛けました。

概要

本作は、42歳で急逝したプログラマー・金子勇の実話を基にしています。主演を務めるのは東出昌大で、彼は「この複雑な事件について7年半にわたって闘った金子勇の人生を描いている」と説明しています。東出は、事件やファイル共有に関する知識が乏しく、初めは金子が怪しい人物に見えたとのこと。しかし、壇俊光によるノンフィクション書籍『Winny：天才プログラマー金子勇との7年半』を読み進め、約18キロ増量したり、関係者への取材を重ねたりした結果、「今も心の中に金子さんがいる」と語るまでになりました。

金子勇の弁護を担当した弁護士・壇俊光役は三浦貴大が演じ、彼らは警察や検察、メディアとの闘いを通じて、著作権侵害に関する法律の壁に挑みます。上映時間の都合上、約7年の出来事を2時間にまとめる中で、細かなエピソードは脚色されていると表明されています。また、2023年2月28日に、大阪市の大阪弁護士会館で先行上映が行われました。

あらすじ

物語は2003年に始まります。この時期、インターネットの利用が急速に広まり、ゲームや映画、音楽などを正規の料金を払わずにダウンロードするユーザーが200万人に達していました。これには『Winny』というファイル共有ソフトが関与しており、その悪用がさまざまな問題を引き起こしていました。警察はこの状況を受けて、一斉に違法アップロードを行う犯罪者たちを摘発し、金子勇も京都府警に任意同行を求められます。

金子は類まれなコンピュータ技術を持ちながらも、世間知らずで純朴な性格を持つ青年でした。そんな彼の無知を利用した警察は、彼にWinnyの開発をやめるという誓約書を書かせる一方で、著作権侵害につながる技術であるとの認識を自筆で証明させ、金子を解放しました。しかし、半年後、金子は著作権法違反幇助の罪で逮捕されることとなります。

彼の弁護を引き受けた壇俊光や桂充弘らは「開発者に罪はない」として無実を証明すべく裁判に立ち向かいます。しかし、警察はWinnyにウイルスが仕込まれていた事実を隠蔽し、金子を著作権侵害を狙う危険人物として描こうとしました。

また、愛媛県警の交番勤務の仙波巡査部長は、署内での裏金作りに憤り、内部告発を行います。彼は地元の弁護士会に裏金の実態を告発し、記者会見を開いたことで様々な圧力にさらされる一方、Winnyを介して裏金の資料が新聞社に流出し、報道される事態となります。金子は、自身がWinnyで著作権侵害を狙っていないという事実を明確に訴えます。

Winnyはむしろ告発者を保護する道具であり、匿名性を持つことがその最大の特徴でしたが、裁判の結果、金子は150万円の罰金を科され、敗訴してしまいます。エンジニアとしての道に戻るよりも、堂々と上告することを選んだ金子は、その後7年の歳月を経て最高裁で無罪判決を勝ち取りますが、残念ながらその半年後に急性心筋梗塞で命を落としてしまいます。彼の遺族や弁護団にとって、金子の姿は忘れられないものとなったことでしょう。

キャスト

本作には様々なキャストが出演しています。金子勇役には東出昌大、壇俊光役には三浦貴大が扮し、他にも桂充弘役の皆川猿時、愛媛県警巡査役の金子大地など個性豊かなキャラクターたちが集結しています。

この映画は、技術の発展とそれがもたらす社会問題、そしてその中で戦う人間の姿を描いた感動的なストーリーです。観る者に考えさせられる内容であり、多くの人々に強い印象を残すことでしょう。

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