Wordless Anthology I 〜Masahiro Andoh Selection & Remix +1〜

T-SQUARE ベストアルバム『Wordless Anthology I 〜Masahiro Andoh Selection & Remix +1〜』

『Wordless Anthology I 〜Masahiro Andoh Selection & Remix +1〜』は、T-SQUAREの20周年を記念して1999年2月20日にリリースされたベストアルバムです。リーダーである安藤まさひろが自ら選曲とリミックスを手掛け、T-SQUAREの歴史を振り返る内容となっています。タイトルの「+1」は、未発表音源が1曲収録されていることを意味します。

アルバムの背景

安藤まさひろは、「メンバーも音楽も大きく変貌していくスクェアの歴史を自分で整理したい」という想いから、このベストアルバムを企画しました。初期のメンバー構成から、音楽性の変化、そして数々の名曲誕生の裏側には、様々なエピソードが隠されています。

スクェアは1976年に結成されましたが、当初はデビュー時とは異なるメンバーでした。その後、ドラマーの河合マイケルとの出会いが転機となり、仙波清彦や宮城純子、伊東たけしといった才能が集まり、デビューアルバムのメンバーが揃いました。初期の楽曲制作では、安藤が作曲を担当し、マイケルが編曲の鍵を握り、仙波のカラーも大きな影響を与えていました。

マイケル退団後は、村上ポンタ秀一など様々なドラマーがサポートし、常に最高のミュージシャンを求めて試行錯誤が繰り返されました。その後、安藤は歌モノ指向に走り、スクェア・サウンドは迷走の時期に入ります。歌手を起用するなど様々な試みが行われましたが、メンバーの協力もあり、困難を乗り越えていきました。

収録楽曲について

このアルバムには、安藤まさひろが厳選したT-SQUAREの名曲が多数収録されています。各楽曲には、安藤自身による詳細な解説が付属しており、制作当時のエピソードや楽曲への想いが語られています。

FUTURE FLY: ハードなフュージョンナンバーで、安藤自身もテクニカルな側面を気に入っています。初期のアルバムでは、クイーンのブライアン・メイが使用していたものと同じマエストロのエコープレックスを多用していました。
BIRD OF BEAUTY: スティーヴィー・ワンダーの未発表カバー曲。デビューアルバム制作時にプロデューサーからカバー曲を求められ、候補として選ばれました。
A FEEL DEEP INSIDE: デビュー前にライブで演奏していた初期の楽曲。安藤がアパートへ帰る道すがらに鼻歌で作った曲です。
LUCKY SUMMER LADY: ミルトン・ナシメントのアルバムに触発され、子供の声をフィーチャーした楽曲。本作では声はミュートされていますが、レゲエ調のリズムと仙波のパーカッションが特徴的です。
TAKE THE LONG ROAD: 宮城純子がスクェアに残した唯一のオリジナル曲。複雑なコード進行と変拍子が特徴で、中村裕二がベースで苦労したエピソードが残っています。
WRAPPED AROUND YOUR SOUL: 安藤が個人的に好きな曲で、最後の盛り上がりが気に入っています。イントロのベースとエレピのユニゾンが印象的です。
STIFF NAILS: AOR系のロックに傾倒していた時期の楽曲。伊東たけしがリリコンを使い始めたのもこの頃でした。
TEXAS KID: 安藤が大学在学中に初めて書いた曲。幻の初期録音バージョンも存在します。
TOMORROW'S AFFAIR: 三浦友和主演ドラマの主題歌。ディストーションギターが印象的な、インストで感動を呼ぶことを目指した楽曲です。
BANANA: サントリーCM用に書き下ろされたものの、採用されなかった幻の曲。マイケルが命名したタイトルがユニークです。

まとめ

『Wordless Anthology I 〜Masahiro Andoh Selection & Remix +1〜』は、T-SQUAREの20年の軌跡を凝縮した、ファン必携のベストアルバムです。安藤まさひろ自身による選曲とリミックス、そして未発表音源の収録により、T-SQUAREの魅力を余すところなく堪能できます。ブックレットには安藤によるライナーノーツと楽曲解説、バンドのバイオグラフィーが収録されており、T-SQUAREの歴史を深く知ることができます。

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