Wordless Anthology II 〜Masahiro Andoh Selection & Remix +1〜

T-SQUAREの20周年を記念して1999年 2月20日にリリースされたベストアルバム『Wordless Anthology II 〜Masahiro Andoh Selection & Remix +1〜』。
リーダーである安藤まさひろが自ら選曲とリミックスを手掛けた楽曲群に加え、未発表ライブ音源が収録された、まさにアニバーサリーに相応しい作品です。

アルバムの特徴

このアルバムは、特にベーシストである田中豊雪が在籍していた時期の楽曲に焦点が当てられています。田中は、その卓越したスラッピング奏法でスクェアのライブパフォーマンスを大きく変貌させました。観客がスタンディングで熱狂するライブは、当時のジャズ・フュージョン界では珍しく、彼のパフォーマンスがスクェアのライブスタイルを確立したと言えるでしょう。この頃からファン層が広がり、現在のスクェアの演奏スタイルの基礎が築かれました。

また、和泉宏隆の加入もスクェアサウンドの完成に不可欠でした。和泉の音楽的な知識とセンスは、それまでのスクェアにはなかった要素をもたらし、彼の作曲する楽曲はスクェアの重要なカラーとなりました。初期には仙波清彦や久米大作などが在籍し、斜に構えた音楽性もバンドに存在しましたが、和泉の加入後は、緻密な設計図に基づいたシリアスな音楽制作へと移行しました。

安藤まさひろの歌ものへの志向は『Rockoon』から『MAGIC』まで続きましたが、歌を入れるほど伊東たけしとのバランスが難しくなり、和泉宏隆の加入によってスクェア本来の音楽が確立されたことで、歌への憧れは断ち切られました。

ユーミン（松任谷由実）のバックバンドを務めていた時期には、『うち水にRainbow』で彼女が楽曲を提供したり、伊東たけしがサントリーのCMに出演したことなどがきっかけで、スクェアの音楽を聴く人が急増しました。コンサートもホールで開催できるようになり、海外（ハワイ）レコーディングも実現するなど、バンドにとって非常に有意義な時期でした。初めての経験も多く、不安と期待が入り混じる中で達成感を味わい、「音楽家になってよかった」と実感したそうです。

フュージョンバンドでありながら、メロディーや構成美を大切にした楽曲制作という音楽的な方向性が定まり、バンドとして上り調子の充実した時期を迎えました。

ブックレットには、安藤まさひろによるライナーノーツと楽曲解説、1998年までのバンドのバイオグラフィーが収録されています。

収録曲について

CHOU CHOW: アルバム『MAGIC』に収録。仙波清彦のカラーをイメージして作られた楽曲。
IT'S MAGIC: アルバム『MAGIC』に収録。ディスコブームに合うように作られたと言われた曲。今回は伊東たけしのサックスによるライブバージョンを収録。
CHANGE YOUR MIND: アルバム『脚線美の誘惑』に収録。久米大作作曲。マクセルのCM曲としても話題になりました。
HEARTS: アルバム『脚線美の誘惑』に収録。ポリスのギターアルペジオに影響を受けて作られた楽曲。
SABANA HOTEL: アルバム『うち水にRainbow』に収録。ギターとサックスの掛け合いが特徴的な、ライブでも人気の高い曲。
TRAVELERS: アルバム『ADVENTURES』に収録。伊東たけしがリリコンを演奏する姿がサントリーのCMで使用され、一躍有名になった曲。
CAPE LIGHT: アルバム『ADVENTURES』に収録。和泉宏隆のバラードの中でも、安藤まさひろが特に好きな曲。
OMENS OF LOVE: アルバム『R・E・S・O・R・T』に収録。小泉今日子がカバーするなど、ライブでも頻繁に演奏されたヒット曲。
IN THE GRID: アルバム『R・E・S・O・R・T』に収録。ハワイでレコーディングされた楽曲。ジェリー・ヘイによるブラスアレンジが施されています。
FORGOTTEN SAGA: アルバム『R・E・S・O・R・T』に収録。和泉宏隆作曲のバラード。ライブ録音で音質は良くないものの、和泉と伊東のソロが素晴らしいため収録。
* TAKARAJIMA: アルバム『S・P・O・R・T・S』に収録。和泉宏隆作曲。ライブでの定番曲であり、スクェアの代表曲の一つ。

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