Xバンド防衛通信衛星

Xバンド防衛通信衛星「きらめき」

Xバンド防衛通信衛星、愛称「きらめき」は、防衛省がPFI方式を用いて整備・運用を行う防衛専用の通信衛星です。この衛星は日本の技術力を結集し、「天空に美しく光り輝く」存在を目指しています。

事業の経緯

防衛省と自衛隊は、以前はスカパーJSATが保有する商用通信衛星「スーパーバード」を使用して部隊間の通信を行っていました。しかし、これらの衛星が2015年度に設計寿命を迎えることが見込まれたため、その後継機の開発が必要とされました。従来は商用衛星を借り上げて利用していましたが、PFI方式を導入して独自の衛星を持つことで、防衛省は有事においても通信の主導権を握れるようになりました。

「宇宙空間の平和利用」という解釈のもと、商用通信衛星の利用に限定されていましたが、2008年の宇宙基本法の施行により軍事専用衛星の保有が認められました。この背景の下、防衛省は2011年度から本衛星の計画を進めることになりました。衛星通信機能を持つ事業者として、スカパーJSATホールディングスが選定され、さらなる詳細な契約が交わされました。

最初の衛星「きらめき1号」は2016年に打ち上げ予定でしたが、ギアナ宇宙センターでの輸送中に損傷があり、2018年に延期されました。打ち上げはアリアン5ロケットを使用したため、外国のロケットによる打ち上げとなりましたが、国内のH-IIAロケットでは重量的な制約により、満足な打ち上げ能力が確保できないための判断でした。続いて、2017年には「きらめき2号」が成功裏に打ち上げられ、衛星通信能力の向上が図られました。

今後、3号機となるスーパーバードC2号機もPFI方式で開発が進行中で、2024年度に打ち上げ予定です。

特徴

PFI方式により防衛省は独自の通信衛星を運用することが出来、迅速かつ高品質な通信が可能となりました。特に、映像データの伝送速度が向上し、国家の安全保障情報を短時間で保持できるようになりました。通信の秘匿性が改善され、通信妨害や傍受に対する耐性も増しました。

さらに、陸・海・空それぞれの自衛隊の通信方式の変換が可能であり、統一的な運用を実現し、発信データの可用性が向上します。本衛星システムで採用するXバンドは、気象の影響を受けにくく、安定した通信ができる特徴があります。これにより、移動体衛星通信においても高い性能を発揮します。

安全について

衛星は安全保障に直結する重要な役割を担っているため、具体的な性能や機密情報が推測されないよう網羅的な情報は公開されていません。例えば、衛星の重量や分離時刻は非公開であり、打ち上げ情報の完全な詳細も公開されていません。これらの情報管理は、国家の安全保障に寄与するために厳重に行われています。

地上施設

地上設備は主に日本電気が整備を行い、維持管理はNTTコミュニケーションズが担当しています。局舎の整備や維持管理は前田建設工業の手によるものです。

まとめ

Xバンド防衛通信衛星「きらめき」は、日本の安全保障を支える重要なテクノロジーであり、今後の衛星通信の未来に大きな影響を与えると期待されています。

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