X端末

X端末とは

X端末（X Terminal）は、X Window SystemのXプロトコルを用いて、他のコンピュータ（ホスト）上で動作するXクライアントアプリケーションの画面表示を行うための専用端末です。この端末は、描画処理と入力処理に特化しており、実際のアプリケーション処理はホスト側で行われます。これにより、描画にかかる負荷をハードウェアレベルで分離し、ホストコンピュータはアプリケーション処理に専念できるため、全体のシステム効率を向上させる効果がありました。

X端末の仕組み

X端末上で動作するXサーバは、端末のファームウェアに組み込まれている場合と、ホストからダウンロードされる場合があります。Xサーバは、ホストからの描画命令を受け取り、画面に表示する役割を担います。X端末は、ハードディスクを必要とせず、Xサーバが動作するための最小限のメモリ容量があれば十分です。このため、ホストコンピュータ（通常はUNIXマシン）と比較して、大幅なコスト削減が実現可能でした。また、X端末自体が持つ情報は、ネットワーク接続に必要なIPアドレス程度であるため、複数台を導入しても管理が容易になるという利点がありました。さらに、Xクライアントをローカルで動作させることも可能でした。

ソニー・テクトロニクスのX端末

ソニー・テクトロニクスが発表した「XP200シリーズ」は、低価格X端末の代表例です。この端末は、33MHzのCPU LSI33020、標準4MB（最大36MB）のメモリ、10Base2/Tのネットワークインターフェースを2つ搭載しており、1023x768または1152x900の画面解像度に対応していました。また、ブートROMにはフラッシュメモリを採用し、リモートコンフィグレーション機能により、ネットワーク上の複数のX端末を一元的に管理できました。価格は188,000円からと、比較的導入しやすい価格帯でした。

X端末の終焉

しかし、2000年代に入ると、UNIXマシンの大幅なコストダウンやPCの普及が進み、専用のX端末というハードウェアを用意する必然性が薄れてきました。現在では、PCでXサーバを動作させることが容易になり、X端末はほぼその役割を終え、過去の技術となっています。

まとめ

X端末は、特定の用途に特化することで、システム全体の効率化とコスト削減に貢献した技術です。しかし、技術の進歩とともに、その役割を他の技術に譲り、現在ではほとんど使われていません。その歴史は、コンピュータ技術の進化の過程を示す一例と言えるでしょう。

参考文献

* 『インターフェース』1995年1月号、CQ出版社、1995年1月。

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