X-22 (航空機)

X-22: アメリカ軍の垂直離着陸機

X-22は、アメリカ軍が開発した垂直離着陸機（VTOL機）で、その独特な設計が注目を集めています。三軍が共同で進めたこの計画は、1962年11月にベル・エアクラフト社に発注され、1966年3月17日に初飛行を成功させました。実験機として製造された2機のうち、ひとつは1966年の夏に不具合により墜落しましたが、もう一つの機体は長年にわたって飛行試験に使用されました。

機体の設計と技術

X-22は、全長12.07メートル、全幅11.96メートル、全高6.31メートルの比較的小型機で、自重は4.8トンです。エンジンはGE YT58-GE-8Dターボシャフトエンジンを4基搭載しており、合計で1,267馬力の出力を発揮します。この航空機は特に、胴体の前部脇に2基、後部主翼端に2基配置された4基のダクテッドファンが特徴で、各ファンの直径は2.13メートルです。

ダクテッドファンは三翅のブレードを持ち、95度の範囲で方向を変えることができるため、垂直離着陸を実現しました。ほかのVTOL機とは異なり、X-22はティルトウイング技術を採用したX-18とは全く異なるアプローチで、ダクテッドファン方式に特化していたのです。

初飛行とその後の試験

初飛行は1966年3月17日に行われ、見事に垂直離陸に成功しました。その後、1966年の8月8日には初号機が油圧系統のトラブルにより墜落しました。そのため、残った2号機は地上試験のみに用いることとなりました。この2号機を用いての飛行試験は長期にわたり続けられ、最終的な飛行試験は1988年に実施されています。

発展型とその成果

X-22の発展型であるX-22BやX-22Cも未実現のままとなりましたが、この機体はVTOL技術に関する多くの知識とデータをもたらしました。ダクテッドファンを使用したVTOL機は結局、実用化されていませんが、X-22の技術的な成果は今日の航空機の設計にも影響を与えている可能性があります。

現在の保存状態

現在、X-22の2号機はニューヨーク州のナイアガラ航空宇宙博物館に展示されており、航空ファンや技術者にとって貴重な資料となっています。この機体は、アメリカの航空技術の発展過程を知る上で欠かせない存在と言えるでしょう。

重要なスペック

• - 全長: 12.07m
• - 全幅: 11.96m
• - 全高: 6.31m
• - 自重: 4.8t
• - エンジン: GE YT58-GE-8D ターボシャフトエンジン（1,267軸馬力）×4
• - 乗員: 2名
• - 最大速度: 410km/h（マッハ0.33）

X-22の開発に関連する資料は、特に航空工学や軍事技術の歴史を学ぶ上で役立つ情報源となっています。

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