X-37 (宇宙機)

ボーイング X-37

ボーイング X-37は、米国が開発した無人宇宙プレーンであり、その背景にはNASAや国防高等研究計画局、アメリカ空軍の参加が存在しています。このプロジェクトは1999年にNASAによって始まりましたが、2004年にアメリカ国防総省に移管されて以降、宇宙での運用が重視されています。

開発の経緯

X-37の開発は1996年から始まり、その目的は再使用可能な宇宙往還機の技術を試験することでした。当初はX-33やX-34とともに進められていましたが、ボーイングとロッキード・マーティンの提案によって、特にボーイングの案が採用されました。元々の計画では、スペースシャトルの貨物室に搭載されて打ち上げられることを想定していましたが、これは後に放棄されました。2004年には、開発の主担当がNASAから国防高等研究計画局に移行し、軍事プロジェクトとしての色合いが強まりました。

軌道飛行の実績

X-37は2010年に初めて軌道飛行を行い、その後も数回のミッションを成功させてきました。特に注目すべきは、2017年のミッションで約718日間にわたり軌道上に滞在したことです。このように、X-37は長期間の軌道飛行が可能であり、その運用能力を証明しました。最近では2020年に実施された6回目のミッションでは、908日間という新たな記録を達成しました。

技術的特徴

X-37は、スペースシャトルに類似したデザインを持つ円筒形の胴体を持ち、低翼配置の主翼とV字の尾翼を特徴としています。機体にはロケットエンジンを装備できる構造があり、無人でのフライトに適した設計がなされています。翼幅は約4.5メートル、全長はおよそ8.9メートルです。また、X-37は電源としてガリウムヒ素太陽電池やリチウムイオン電池を使用し、航行中に必要なエネルギーを効率的に供給しています。

軍事的利用と未来の構想

X-37の開発や運用は、米国の軍事戦略にも重要な役割を果たしています。 特に、「ポスト核兵器時代」における迅速な攻撃能力が注目されており、これを実現するための無人宇宙プレーンとしてのX-37の利用が考えられています。一部の報道では、X-37の飛行データやミッションの詳細は一般には公開されていないため、様々な憶測や見解が飛び交っています。未来には、X-37Bの大型モデルであるX-37Cの開発が予定されており、有人宇宙船としての可能性も模索されています。

結論

X-37はその独自の設計と高い運用能力により、現代の宇宙開発において重要な存在となっています。米国における宇宙の軍事利用においても、その役割はますます重要性を増しており、今後の展開にも目が離せません。

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