XB-16 (航空機)

マーティン XB-16の概要

マーティン XB-16は、1930年代にアメリカ陸軍航空隊からの発注を受けてマーチン社が設計を進めていた爆撃機です。この機体は、当時の技術水準からして、陸軍航空隊の厳しい要求を満たすのが難しいと判断されたため、開発途中でキャンセルされる運命を辿りました。

発注の背景

1934年4月、アメリカ陸軍はマーチン社に対し、2,500ポンド（約1,134 kg）の爆弾を搭載し、航続距離を5,000マイル（約8,045 km）とする爆撃機の発注を行いました。これに応える形で提案されたのがXB-16という名称の機体でした。XB-16は4基の液冷アリソン V-1710エンジンを搭載する計画であり、当時の主流であった空冷エンジンとは一線を画すものでした。

設計の変遷

設計は進行し、1935年には再設計が行われました。最初の計画では、XB-16の全幅は42.7メートルでしたが、最終的には52.7メートルへと拡大しました。このサイズは、のちに開発されるB-29を上回るものであり、当時としては非常に大きな機体となりました。

計画されたXB-16では、エンジン配置も特徴的でした。4基のエンジンが主翼の前縁に索引式に取り付けられ、さらに2基は後縁に推進式に配置され合計6基のエンジンが搭載されることになっていたのです。さらに、機体デザインは革新性があり、双垂直尾翼と2基のブームを持つ形状は、後にP-38という飛行機に類似した特徴を持っていました。

キャンセルの理由

最終的には、XB-16は陸軍航空隊からキャンセルされることとなります。その理由としては、低速な性能や過大なサイズが挙げられました。また、当時の戦闘機や爆撃機としてのニーズに適わなかったため、製造に至ることはありませんでした。この時期の技術や設計への挑戦は、次世代の航空機開発に影響を与えたものと言えるでしょう。

要目（1935年計画時）

• - 乗員: 11名
• - 全長: 35.0メートル
• - 全幅: 52.7メートル
• - 空虚重量: 47,573キログラム
• - エンジン: アリソン V-1710 液冷エンジン（850馬力）×6基
• - 最大速度: 310 km/h
• - 巡航速度: 230 km/h
• - 戦闘半径: 5,300 km

このように、マーティン XB-16は当時の航空機設計における新しい試みが詰まった機体でしたが、実際の運用には至らないままでした。

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