ダグラス XB-19:巨人爆撃機の誕生
ダグラス XB-19は、
1938年に
アメリカ陸軍航空隊向けにダグラス社が開発した試作の
爆撃機です。この機体は当時としては最も大規模な重
爆撃機の一つであり、航空技術の発展や軍事戦略において重要な役割を果たしました。
背景
1930年代に入ると、アメリカの軍事戦略はより遠距離攻撃能力を求める方向にシフトしました。このため、陸軍航空隊は超長距離
爆撃機の開発を各航空機メーカーに求め、複数のプロジェクトが立ち上げられました。その一環として、ダグラス社は「XBLR-2」という名称で
爆撃機の設計を進めることになります。
開発経緯
ダグラス社は1935年10月に正式にXBLR-2の製作を決定し、1936年にはXB-19の名称が与えられました。しかし、開発が進むにつれて、技術的な課題が明らかになりました。ダグラス社側では、機体に目立った革新性が無く、コストと開発期間がかさむことから開発中止を望むようになりました。しかし、陸軍航空隊はこの機体を実験機として活用したい意向があり、開発は続けられました。
特徴
XB-19の最大の特徴はその巨大なサイズです。全幅は64.6メートルに達し、内部にはキッチンやトイレ、ベッドが設けられました。クルーは立ったまま機体内部を移動でき、飛行中もエンジン点検が可能です。従来の重
爆撃機B-17よりも堂々たる存在感を持ち、当時のその他の機体と比較しても圧倒的なサイズを誇っていました。
また、
武装も充実しています。37mm
機関砲が2基、12.7mmおよび7.62mmの
機関銃がそれぞれ5挺ずつ、合計で12門が搭載されており、
爆弾の搭載量も標準で約12,580ポンド、最大で37,100ポンドまで可能です。これにより、XB-19は戦略爆撃任務において非常に高い能力を持っています。
初飛行とその後
XB-19は
1941年6月27日に初めての飛行に成功し、その後も航空性能の向上が図られました。
1943年にはエンジンをアリソンV-3420に換装し、XB-19Aとして再編成されました。この改良型は、より高い出力と性能を持つことになり、試験機としての役割を全うしました。フォローアップの輸送任務を経て、XB-19は
1949年まで航空機の一員として活動を続けました。
保存状況
退役後、XB-19Aは航空博物館に保存展示される計画がありましたが、その当時は適切な施設が無かったため、完全な機体の保存には至りませんでした。現在も、彼の名残としてランディングギアのタイヤが2つ、
オハイオ州の国家空軍博物館と
ユタ州のヒル航空博物館に展示されています。
まとめ
ダグラス XB-19は、当時の航空機技術の進展と航空戦略の変化を反映した重要なアイコンです。その巨大なサイズ、独自の設計、及び多機能な特性は、他の
爆撃機とは一線を画すものでした。航空史においても、特異な存在であり続けることは間違いありません。