XB-38 (航空機)

XB-38に関する詳細

XB-38は、アメリカのボーイング社が開発したB-17爆撃機を基に、ベガ社が改造した特別な機体です。この改造は、B-17の量産過程で発生したエンジン供給の問題に対処するために行われました。特に、艦載していたR-1820空冷エンジンが不足することを見越し、その代替としてV-1710-89液冷エンジンを搭載することが試みられたためです。具体的には、B-17Eの1機がこの改造の対象となりました。

初飛行と試験飛行

XB-38の初飛行は1943年5月19日に行われました。試作機は、この新しいエンジンを搭載したことによる性能の向上を確認するための一連のテストフライトを受けました。しかし、残念ながら1943年6月16日の第9回目のテスト飛行において、第三エンジンが発火し、その結果として試作機は墜落しました。この事故によって、プロジェクトは計画中止に追い込まれました。

本来はR-1820エンジンが不足することを懸念していたものの、実際にはそのような事態は起こらず、逆にV-1710エンジン自体が他の戦闘機(P-38、P-39、P-40など)に使用されることとなったため、B-17の代替としての役割は果たせなくなったのです。

XB-38のスペック

この試作機のスペックも興味深いものがあります。全長は22.7メートル、全幅は31.6メートル、全高は5.8メートルで、翼面積は141.9平方メートルに達しました。空虚重量は24,900キログラム、全備重量は28,183キログラムで、最大離陸重量は29,000キログラムまで対応可能です。また、翼面荷重は231キログラム/平方メートルとなっています。

エンジン性能

エンジンはアリソン社製のV-1710-89液冷V型12気筒エンジンを4基搭載しており、出力は1,425馬力になります。このため、出力荷重比は0.0655馬力/ポンドという数値を示します。最大速度は526キロメートル/時、巡航速度は364キロメートル/時、航続距離は3,100キロメートルに達します。さらに、実用上昇限度は11,200メートルです。

乗員と武装

XB-38は10名の乗員を搭載可能で、武装には13丁のブローニングM2 12.7mm機関銃があり、最大で2,700キログラムの爆弾を積載することができました。このように、XB-38は高い性能と武装を持つ機体として期待されていましたが、試作段階での事故によりその運命は閉ざされてしまったのです。

結論として、XB-38はアメリカ航空史の中で一時的な試みとして存在した機体であり、その特徴的な改造はエンジン供給問題の解決を試みたものでしたが、運用には至らなかったことが、その独特な位置を際立たせています。

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