XB-68 (航空機)

XB-68（Martin Model 316）とは

XB-68、またの名をマーティン・モデル316は、アメリカの航空機メーカーであったグレン・L・マーティン・カンパニーが開発しようとした超音速中型戦術爆撃機です。この機体の開発は冷戦時代に行われ、1952年にアメリカ空軍が核兵器を搭載可能な高性能爆撃機の構想を示したことから始まりました。

当初、アメリカ空軍は超音速で飛行できる中型爆撃機を必要としており、その計画にはノースアメリカン、ボーイング、ダグラスといった航空機メーカーも参加していました。グレン・L・マーティンもこの構想に加わり、1956年には彼らの提案するモデル316がB-68として制式名称を与えられることとなりました。この時、機体は1962年から1965年の間に配備される予定でした。

デザインは当時の超音速戦闘機であるロッキードF-104をベースにしており、拡大された形状を持つものでした。乗員は2名で、パイロットと爆撃士が搭乗する設計となっていました。主な性能としては、全長が33.43メートル、翼長が16.2メートル、高さが7.77メートルといったサイズを持ち、最大速度は2,564km/h、航続距離は4,910kmにも及ぶというものでした。また、プラット＆ホイットニー社のJT4B-21ターボジェットエンジンを2基搭載し、最大離陸重量は46,590kgを誇りました。

しかし、開発過程において多くの技術的な課題が浮上し、進展は難航しました。そのため、最終的にはB-68の実戦化は見込めない状況に至りました。結果として、ダグラス社のA-3を基にしたB-66が代わりに採用されることとなり、B-68は契約が破棄されました。

なお、B-68という名称は、1955年に開発が開始された大陸間弾道ミサイルのタイタンIにも使用され、その後SM-68を経てHGM-25Aという名称に変更されています。実際にX-68の機体は製作されることなく、設計止まりとなりましたが、冷戦時代のアメリカの航空技術の一環として、その存在は記憶されています。

性能要目（検討されていたもの）

• - 乗員：2（操縦士と爆撃士）
• - 全長：33.43m
• - 翼長：16.2m
• - 高さ：7.77m
• - 翼面積：81.3 m²
• - 空虚重量：24,460kg
• - 全備重量：33,650kg
• - 最大離陸重量：46,590kg
• - 搭載エンジン：プラット＆ホイットニー・JT4B-21ターボジェット×2（27,500lbf×2）
• - 最大速度：2,564km/h
• - 航続距離：4,910km
• - 実用上昇限度：44,800フィート（約13,650m）
• - 武装：M61バルカン航空機関砲1門、熱核兵器1発

技術が進化する中で、XB-68はその計画の一環としても重要な意味を持つ存在だったと言えるでしょう。

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