XF5F (航空機)

XF5F スカイロケット (Grumman XF5F Skyrocket)

XF5F スカイロケットは、アメリカのグラマン社によってアメリカ海軍向けに設計された実験的な艦上戦闘機です。1940年に試作機が完成し、その名は「空のロケット」を意味します。これは、グラマン社の他の機体に見られる愛称「キャット」に続く特異な名称です。試作機はその革新的なデザインによって航空界の注目を浴びたものの、実用上の問題から量産には至りませんでした。結局、1機のみが試作され、XF5Fは試験データ収集の役割を果たすことになりました。

概要

この機体は、世界初の双発単座艦上戦闘機として開発され、1940年に初飛行を成功させます。元々は海軍の要求に応じて、高速な艦上戦闘機の仕様に基づいて設計が始まりましたが、技術的な問題が次々と発生し、実地での運用にはつながりませんでした。それでも、XF5Fの設計に関するデータは後に開発されたF7Fにとって、非常に重要な情報となりました。また、この機体はアメリカ海軍の宣伝にも利用され、コミックス『ブラックホーク』にも登場するなど、その知名度は高まりました。

開発の経過

アメリカ海軍は1938年に高速艦上戦闘機の設計要求を掲げ、さまざまな航空機メーカーが応じました。グラマン社は、それまで温めていた双発戦闘機の構想を基に新たな設計に着手し、独自の形状を持つXF5Fを生み出しました。この機体は、胴体の長さを短縮することで視界を改善し、重心を中央に集めることを狙いました。また、発着艦時の安定性を確保するため、特徴的な双尾翼のデザインが用いられました。主翼は空母の格納庫に収めるため、折りたたみ式に設計されています。

当初は、機首にマドセン23 mm機関砲と12.7 mm機銃を搭載する計画でしたが、武装の種別は途中で変更され、最終的には12.7 mm機銃のみとなりました。また、主翼下に小型爆弾を最大20発搭載できる爆弾倉が設けられており、対地攻撃能力も考慮されていました。

実験と課題

初飛行は1940年4月に行われ、XF5Fは並外れた上昇力を示しましたが、空気抵抗の大きさが速度に悪影響を与えることが指摘されました。海軍での試験に移行する際、数々の設計上の問題が明らかになり、幾度かの改良作業が行われました。しかし、これらの改善にもかかわらず、最終的な性能は期待を下回る結果となりました。特に、1941年に行われた試験では、依然として視界不良やエンジンの冷却問題が解消されず、艦上機として致命的な欠陥とされました。

1942年には新たなライバル機、チャンス・ヴォート社のXF4Uが登場し、XF5Fに対する興味が薄れる中、新型の双発艦上戦闘機の開発が始まりました。その結果、XF5Fの開発は中断され、試作機は単なるデータ収集のためだけに用いられることになったのです。

結末

最終的に、XF5Fの初号機は様々な事故を経て、1944年に胴体着陸を行い、機体は大破。試作機はその後、廃棄処分となりましたが、その試験データは後の航空機開発に重要な役割を果たしました。

要目

• - 全長: 9.80 m
• - 全高: 3.7 m
• - 全幅: 12.8 m
• - 自重: 3,630 kg
• - エンジン: ライトXR-1820-40/-42空冷星型エンジン（出力 1,200馬力×2）
• - 最大速度: 616 km/h（海面高度）、586 km/h（高度5,270 m時）
• - 武装: 23 mm機関砲×2、12.7 mm機銃×2、空対空小型爆弾合計20発

グラマンXF5Fスカイロケットは、航空史における重要な足跡を残した機体であり、他の航空機開発に寄与したことから、その存在意義は特別なものと言えるでしょう。

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