XP-10 (航空機)

XP-10 戦闘機の概要

XP-10は、アメリカの航空機メーカーであるカーチスによって開発された戦闘機で、アメリカ陸軍向けの試作型です。この機体は、1928年6月18日に陸軍から発注され、運動性および速度性能向上を目指して設計されました。特にドッグファイトにおける優れた運動性を重視し、先進的な技術が取り入れられています。

デザインと構造

XP-10の最も特徴的な点は、上翼に採用されたガルウィングデザインです。この設計により、パイロットは従来の複葉機と比べてより良好な視界を得ることができました。また、翼と胴体間の干渉抵抗も軽減されており、飛行性能の向上に寄与しています。機体の翼は合板構造で、胴体は羽布張りの鋼管構造となっており、これにより軽量化が図られています。

エンジンと冷却システム

XP-10に搭載されているエンジンは、600馬力（447 kW）のカーチスV-1570コンカラーというV12水冷エンジンです。このエンジンは、冷却効率を高めるために上翼に表面冷却システムを導入しています。このシステムは、2枚の波形の真鍮板を使用し、その間に冷却水が流れる仕組みです。しかし、この技術は独創的である反面、多くの技術的課題を伴い、冷却系の問題が続いていました。特に、敵からの砲火に対して機体の防御力が不足しているという脆弱性も懸念されました。

試験飛行と結果

XP-10は1928年に陸軍航空隊に引き渡され、同年の9月には初飛行を行いました。この試験では、機体が期待通りの運動性を示し、カーチス・ホークよりも優れた飛行性能を発揮しました。しかしながら、冷却システムの課題が持続的に影響を及ぼしたことから、計画は最終的に中止されることとなりました。

性能諸元

XP-10の基本的な性能諸元は以下の通りです:

• - 乗員：1名
• - 全長：7.47 m (24 ft 6 in)
• - 全幅：10.06 m (24 ft 6 in)
• - 全高：3.30 m (10 ft 10 in)
• - 主翼面積：21.1 m² (238 ft²)
• - 空虚重量：1315 kg (2900 lb)
• - 全備重量：1542 kg (3400 lb)
• - 動力：V-1570 Conqueror
• - 出力：600 hp
• - 最大速度：279 km/h (173 mph)
• - 巡航速度：209 km/h (130 mph)
• - 航続距離：314 km (195 miles)
• - 実用上昇限度：5,977 m (19,610 ft)
• - 上昇率：590 m/min (1,940 ft/min)

XP-10はその革新的なデザインと優れた飛行性能で一時期注目を集めましたが、技術的な障壁により実用化には至りませんでした。それでも、この機体は航空機設計における重要な一歩となり、その後の発展に影響を与えました。

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