XP-79 (航空機)

XP-79戦闘機の概要

XP-79は、アメリカ合衆国のノースロップ社がアメリカ陸軍航空軍向けに開発した戦闘機であり、別名「フライング・ラム」として知られています。この機体は全翼型の設計思想を基にしており、そのユニークな形状が多くの利用者の関心を引きました。

開発の背景

第二次世界大戦中、ノースロップ社は全翼機の可能性を探るための研究を進めていました。その成果として、1943年1月にはXP-79の試作機を3機受注しました。最初はXCAL-200ロケットエンジンを搭載する計画でしたが、エンジンの開発が進まないことからこの計画は見直されました。実際、ロケットエンジンが機体の完成に間に合わなかったため、このプロジェクトはキャンセルされることになりました。

しかし、全翼機というコンセプトへの関心は依然として強かったため、ノースロップ社は新たにターボジェットエンジンを搭載するXP-79Bとしての計画を始めました。1945年9月に試作の初号機がミューロック乾湖で初めて空を飛びましたが、わずか15分の飛行中に原因不明のスピンに陥り、墜落して大破してしまいました。この事故により、テストパイロットのハリー・クロスビーが亡くなりました。戦争も終わったため、XP-79プロジェクトはキャンセルされ、飛行可能な機体は初号機だけが製作されたものの、事故で失われてしまいました。

機体構成と設計

元々、XP-79はロケットエンジンによる推進を考慮して設計されており、強力な腐食性のあるロケット燃料から機体を守るため、厚い外皮を持ったマグネシウム合金製のセミ・モノコック構造が採用されていました。後にターボジェットエンジンを搭載することになったが、基本的な機体構造は変わりませんでした。

中央部分にはターボジェットエンジンが2基搭載され、その間に操縦席が配置されていました。操縦席は独特で、パイロットは腹ばいの姿勢で搭乗する設計となっており、加速度や急上昇による負担を軽減することを目的としていました。この構造のため、風防部分が機体の形状と一体化しており、空気抵抗を避ける工夫が施されています。また、全翼型でありながら安定性を確保するために、胴体の後部には2つの垂直尾翼も設けられました。降着装置は4輪式で、前後に2輪ずつ配置されていました。

スペック

XP-79Bの主要なスペックは以下の通りです。

• - 全長: 4.26 m
• - 全幅: 11.58 m
• - 全高: 2.13 m
• - 全備重量: 3,932 kg
• - エンジン: ウェスティングハウス 19B ターボジェットエンジン×2（推力：619 kg）
• - 最大速度: 880 km/h（計算値）
• - 航続距離: 1,598 km（計算値）
• - 上昇限度: 12,190 m
• - 乗員: 1名
• - 武装: 12.7mm機銃 × 4

XP-79はその独特な仕様だけでなく、試作機の一部が航空博物館で発見されていることでも注目されています。ゲームなどの作品にも登場し、当時の技術や戦略を象徴する機体として記憶されています。

もう一度検索