XP-9 (航空機)

ボーイング XP-9

ボーイング XP-9は、アメリカのボーイング社が設計した陸軍航空隊初の単葉戦闘機です。製作の背景には、1928年のアメリカ陸軍の要求がありました。本機は社内では「モデル96」として知られ、その構造は後のボーイング機に影響を与える重要なものでした。試作機は1機のみで製作されましたが、いくつかの問題が原因で、結局計画は中止されました。

設計と開発

XP-9の設計は、単葉戦闘機の新しい基準を示すもので、特にセミモノコック構造が注目されます。この構造は、後に一般的な航空機設計の一部となりました。ボーイング社は自社の複葉戦闘機P-12にXP-9の優れた構造を取り入れ、XP-9に似たセミモノコック金属胴体を持つP-12Eを開発しました。また、P-12Cの降着装置の新しいアレンジは、XP-9からの技術を応用したものです。

運用歴

XP-9試作機は1930年11月18日に初飛行を行いましたが、初飛行の印象は良好ではありませんでした。設計された主翼は非常に大きく、そのためパイロットの下方視界を著しく制限してしまいました。この視界の欠如は、特に着陸時に危険な状況を引き起こすことが明らかになりました。さらに、ライティン陸軍試験センターのテストパイロットによると、XZ-9の飛行安定性は非常に不十分でした。これを改善するためには、垂直尾翼のサイズを増やす必要があるとされました。

大型化された垂直尾翼が追加されましたが、期待された改善は見られず、修正後の機体XP-15はわずか15時間のテスト飛行の後、教育用機体として使用されることになりました。この結果から、XP-9計画はボーイング社にとって貴重な教訓をもたらしました。

各型解説

• - XP-9 : 社内呼称モデル96で、試作機は1機のみ。
• - Y1P-9 : P-12Dの契約のもと試作5機のオプションがあったが、不採用となった。
• - XP-15 : XP-9に垂直尾翼の改良を加えたモデル。これは実質的にXP-9の開発続編的な存在です。

使用者（計画）

アメリカ陸軍航空隊によって計画されました。

要目（XP-9）

• - 乗員 : 1名
• - 全長 : 25 ft 1.75 in（約7.68 m）
• - 全幅 : 36 ft 6 in（約11.13 m）
• - 全高 : 7 ft 10.25 in（約3 m）
• - 翼面積 : 210 ft²（約19.51 m²）
• - 空虚重量 : 2,669 lb（約1,211 kg）
• - 最大離陸重量 : 3,623 lb（約1,643 kg）
• - エンジン : カーチス SV-1570-15 コンカラー（600 hp）
• - 最高速度 : 185 knots（約343 km/h）
• - 巡航速度 : 156.4 knots（約290 km/h）
• - 航続距離 : 369カイリ（約684 km）
• - 上昇限度 : 26,800 ft（約8,170 m）
• - 上昇力 : 1,560 ft/min（約7.9 m/s）
• - 武装 : 機関銃 2挺（7.62 mmと12.7 mm各1基）、爆弾125ポンド

このように、XP-9は数々の課題を抱えながらも、航空機設計における重要なステップとなった機体でありました。

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