XR-1 (航空機)

プラット・ルページ XR-1について

プラット・ルページ XR-1（社内記号PL-3）は、アメリカ合衆国のツイン・ローター型ヘリコプターの初期のモデルとして知られています。この機体はペンシルベニア州エディストーンにあるプラット・ルページ飛行機社によって開発されました。1940年初頭、アメリカ陸軍航空隊による設計コンペで選出され、1941年には陸軍航空隊が評価した最初のヘリコプターとなりましたが、多くの技術的課題に直面し、最終的には1945年に開発が中止となりました。

開発の背景

プラット・ルページ社は、1939年にXR-1の開発を開始し、1940年に実施された設計コンペでは、ボート・シコルスキー社や他の企業が提案したオートジャイロを上回り、同年5月に試作機の製作契約が結ばれました。最初の静的テスト機は7月に完成し、飛行試験用の機体の引渡し契約は1941年に行われましたが、実際の完成は予想よりも3ヶ月遅れました。

XR-1のデザインは、ドイツのフォッケウルフFw 61から大きな影響を受けており、プラット・ルページの創立者の一人であるウィン・ルページがヨーロッパで見た機体に感銘を受けた結果、生まれたものでした。機体は鋼管構造で、布が張られた外装が施され、固定脚と尾脚が装備されています。乗員は2名で、操縦士は前席、観測士は後席に座る配置であり、観測機としての機能も重視されていました。

飛行試験と課題

数ヶ月の地上試験の後、1941年5月12日には初飛行が試みられましたが、トラブルが発生し、完全な自由飛行は6月23日へと延期されました。この時、飛行高度は数フィートに留まり、操縦性や振動に関する問題が浮上しました。試行錯誤の中で多くの改造が施されましたが、根本的な問題を解決することはできず、プラット・ルページ社のテストパイロットは機体に対する信頼を失いました。このため、陸軍航空隊の責任者H.フランクリンが自ら操縦し、実際に160km/hでの飛行を試みることとなりました。

1943年からは陸軍航空隊による本格的な実用試験が始まりましたが、構造強化が求められ、事故が発生するなど評価には時間がかかりました。この際、改良型XR-1Aの試作機契約が交わされ、1943年5月にはXR-1Aが進化した機体として飛行を果たしましたが、操縦性の問題は依然として残っていました。

開発の終焉

機体にはさらなる改良が施される予定でしたが、1944年10月の長距離飛行試験ではローターハブに故障が発生し、着陸時に機体が破損してしまいました。その結果、XR-1は修理され、7機のXR-1Aの生産契約が結ばれましたが、当局の関心はすでに他のヘリコプターに移っており、資金難や技術的課題が重なり、1945年4月には契約がキャンセルされるに至ります。

契約打ち切り後、XR-1はプラット・ルページ社に返却され、民間利用の計画が立てられましたが資金不足のため、1946年中に開発が中断されることとなりました。その後、XR-1はスミソニアン協会によって保存されることになり、ヘリコプターの発展の歴史に名を刻むことになりました。残されたXR-1Aも、様々な経緯を経て、最終的にはパイアセッキ・ヘリコプターの創始者に引き継がれ、後のティルト・ローター開発に繋がる可能性を秘めていましたが、計画は実現しませんでした。

機体の性能

• - 乗員: 2名
• - 全長: 8.94m
• - 胴体全長: 19.41m
• - 全高: 2.74m
• - 主回転翼直径: 9.60m × 2
• - 主回転翼枚数: 3枚
• - 全備重量: 2,145kg
• - 最高速度: 177km/h

このように、プラット・ルページ XR-1は当時の技術的挑戦の象徴であったともいえる存在であり、その開発と試験を通じて、ヘリコプター技術の発展に寄与しました。

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