Xsan

Xsan：Apple製SAN用共有ファイルシステムの深堀り

Xsanは、Appleが開発したストレージエリアネットワーク(SAN)用の共有ファイルシステムソフトウェアです。複数のサーバーやクライアントから、SAN上のストレージに直接アクセスし、ファイルの読み書きを高速に行うことを可能にすることで、ワークフローの効率化に大きく貢献します。

システム構成とアーキテクチャ

Xsanシステムは、主にXsanメタデータコントローラー、ストレージデバイス、Xsanクライアント、そしてそれらを接続するファイバーチャネルネットワークとイーサネットネットワークから構成されます。メタデータコントローラーはファイルシステムの管理を担い、クライアントは共有ストレージへアクセスするためのインターフェースとして機能します。この構成により、大規模なファイル共有や共同作業をスムーズに実現します。

Quantum StorNextとの関係性

Xsanは、Quantum社のStorNext File Systemをベースに開発されています。このため、Windows、UNIX、Linux環境で動作するStorNextとの相互運用性も備え、異種環境とのデータ連携も可能です。

主な用途と活用事例

Xsanは、当初から大規模な計算クラスターやFinal Cut Proなどの映像編集プロジェクトでの利用を想定して開発されました。高解像度映像データの共有や処理において、その高速なファイルアクセス性能は大きなメリットとなります。さらに、macOS Serverの各種サービス（Time Machine Server、カレンダーサーバーなど）とも統合されており、サーバー環境の構築にも活用されていました。

バージョンごとの機能強化

Xsanは、2004年の発表以降、継続的にアップデートが繰り返され、機能強化が図られてきました。主なバージョンと機能改善は以下の通りです。

Ver.1系(2005-2007): ストレージ容量のサポート拡大(最大2PB)、バグ修正、信頼性向上、セキュリティ強化、アクセス制御リスト(ACL)の導入、フェイルオーバー機能の改善などが行われました。
Ver.2系(2008-2011): ユーザインターフェースの改良、Spotlight対応、MultiSAN対応、Promise VTrak E-Class RAIDの公式サポート、64ビット化、拡張属性(extended attributes)対応など、パフォーマンスと機能が大幅に強化されました。このバージョンからIntel Macのみ対応となりました。OS X Lion/Lion Serverでは標準添付となり、実質的に無償化されました。
Ver.3系(2012-2013): OS X Mountain Lion/Mountain Lion Serverに標準添付されました。
Ver.4系(2014-2015): OS X Yosemite/Yosemite Serverに標準添付されました。
Ver.5系(2016-2017): macOS Sierra/macOS Serverに標準添付されました。
Ver.7系(2020-2023): macOS Big Sur以降に標準添付されました。コマンドラインツールのみとなり、Ver.7.1ではmacOS Sonomaに対応、IntelバイナリのためAppleシリコンMacではRosetta 2で動作します。

まとめ

Xsanは、Appleエコシステムにおける高性能な共有ファイルシステムとして、長年にわたって多くのプロフェッショナルユーザーに利用されてきました。大容量データの高速アクセス、信頼性の高いファイル共有、そしてmacOS Serverとのシームレスな統合は、その大きな特徴です。バージョンアップによる継続的な機能強化も、Xsanの価値を高める上で重要な要素となっています。最新のバージョンではmacOS Sonomaへの対応が確認されており、今後もAppleエコシステムにおける重要な役割を担っていくことが期待されます。

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