Xterm

xtermは、X Window Systemの標準的な端末エミュレータとして、ユーザーがグラフィカルな環境でテキストベースの操作を行うために不可欠なツールです。このエミュレータの主な特徴は、一つのディスプレイ上で複数のxtermウィンドウを同時に開き、それぞれのウィンドウで独立したプロセス（通常はUnixシェル）を実行できる点にあります。これにより、ユーザーは複数のタスクを並行して効率的に処理することが可能です。

概要

xtermは、X Window Systemに先駆けて開発された歴史を持ちます。元々は、1984年の夏にMark Vandevoorde氏によってVAXStation 100 (VS100)向けのスタンドアロン端末エミュレータとして開発されました。しかし、その有用性から、すぐにX Window Systemの一部として統合されることになりました。現在では、xtermを起源とする多くの端末エミュレータが存在し、その影響力の大きさが伺えます。

xtermのインターフェースは、シンプルで洗練されています。デフォルトではメニューバーは表示されず、代わりにControlキーとマウスの左、中、右クリックを組み合わせることで、3種類の異なるメニューにアクセスできます。また、コンパイル時にツールバーを組み込むことも可能ですが、これは前述のマウス操作でアクセスできるメニューと同じ機能を提供します。

機能

端末エミュレーション

xtermは、初期のバージョンからVT102やTektronix 4014といった代表的な端末のエミュレーションをサポートしていました。その後、DEC（Digital Equipment Corporation）をはじめとする様々な端末の制御シーケンスが追加され、互換性が向上しました。具体的には、以下の端末エミュレーションが可能です。

VT220: パッチ24で追加。
VT320: パッチ24で追加。
VT420: DECSTRはパッチ34で追加。
VT520: 公式にはエミュレートされていませんが、一部機能が実装されています。

プロトコル

xtermは、幅広い端末制御プロトコルに対応しており、異なる環境での利用を可能にしています。主な対応プロトコルは以下の通りです。

ANSI X3.64
Digital Equipment Corporation VTファミリー（VT52, VT102, VT220など）
Tektronixファミリー（Tektronix 4014など）

加えて、xtermは、商用ターミナルマシンで使われるプロトコルに加え、以下のような独自のプロトコルもサポートしています。

マウスのトラッキング：パッチ120でボタン4とボタン5のサポートが追加されました。
16色ターミナルプロトコル：パッチ39で追加。
256色ターミナルプロトコル：パッチ111で追加。
88色ターミナルプロトコル：パッチ115で追加。
カスタムカラーパレット：パレットエントリのRGB値を指定する機能がパッチ111で追加されました。

まとめ

xtermは、X Window Systemにおけるテキストベースの操作に欠かせないツールであり、その機能性と柔軟性から、長年にわたり多くのユーザーに利用されています。豊富な端末エミュレーション機能やプロトコルサポートにより、様々な環境に対応できる汎用性の高さが、xtermの大きな魅力となっています。

脚注

このドキュメントでは、xtermの基本的な機能と特徴について解説しました。詳細な情報については、関連ドキュメントや外部リンクを参照してください。

関連項目

端末エミュレータ
VT100

外部リンク

* xterm on Freshmeat

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