YAZAWA It's Just Rock'n Roll

『YAZAWA It's Just Rock'n Roll』は、1982年12月4日にリリースされた矢沢永吉の10枚目のスタジオアルバムです。前作『P.M.9』から約5ヶ月という短い期間でのリリースとなりましたが、制作自体は前作とほぼ同時期に行われていました。プロデューサーには、ドゥービー・ブラザーズのボビー・ラカインドとジョン・マクフィーが迎えられ、サウンド面でも新たな試みがなされています。

このアルバムは、『YAZAWA』に続く海外発売第2弾として、エレクトラ・アサイラム・レコードを通じて全米でもリリースされました。これにより、矢沢永吉の音楽が世界に発信されるきっかけとなりました。

収録曲には、前作に収録された楽曲を原曲とし、タイトルや歌詞を英語に変更し、大幅なアレンジを加えたものが4曲含まれています。さらに、他の5曲は矢沢自身以外の作曲家によるもので、他者の楽曲がアルバム全体の半分以上を占めるという、矢沢のアルバムとしては異例の構成となっています。これは、新たな音楽性の追求と、海外のミュージシャンとのコラボレーションを試みた結果と言えるでしょう。

アルバムジャケットのデザインも特徴的です。アルバムタイトルの「YAZAWA」部分は、前作『YAZAWA』の筆文字部分を流用しており、統一感を持たせています。また、ジャケット写真の壁に貼られた矢沢の写真は、先行シングル『ROCKIN' MY HEART』のジャケット写真と同じものを使用しており、プロモーション戦略の一環として、アルバムへの注目度を高める狙いがあったと考えられます。

収録曲は以下の通りです。

1. ROCKIN' MY HEART
13枚目のシングルとしてリリースされた楽曲。パイオニア・シェルフコンポーネント「プライベート」のCMソングにも起用されました。全米でもシングル発売され、ビルボード誌の「Top Single Picks」にも選ばれています。
2. HARD TO TAKE
3. TRYIN' TO FIND MY WAY HOME
4. WHY DO YOU LIE
原曲は「ROCK ME TONIGHT」。
5. CAN GO
原曲は「NO NO NO」。
6. IT'S JUST ROCK'N ROLL
7. CRYING FOR YOU
8. TELL ME YOU LOVE ME
原曲は「HOLD ON BABY」。
9. WHY DID YOU EVER GO
* 13枚目のシングルのB面曲。原曲は「YES MY LOVE」。

これらの楽曲は、ロックンロールを基盤としながらも、様々な音楽要素を取り入れ、バラエティに富んだサウンドを聴かせてくれます。矢沢永吉の新たな挑戦が詰まった、意欲的なアルバムと言えるでしょう。

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