YB-35 (航空機)

YB-35（Northrop YB-35）

YB-35は、アメリカのノースロップ社によって1940年代に開発されたレシプロエンジン爆撃機であり、全翼機としての特異な設計が特徴です。本機は大きな主翼のみで構成され、尾翼や目立つ胴体を持たない独特の外観をしています。初飛行は1946年とされており、実際に飛行した世界最初の大型全翼機でもあります。愛称は「フライング・ウィング」と呼ばれていますが、最終的には制式採用されることはありませんでした。

機体の特長と設計

YB-35は、主翼に4基の空冷星型エンジンを搭載し、後方にプロペラを配置しているため、推進力を効率的に得ることができました。操縦席は機体先端にあり、与圧構造が採用されています。爆弾倉は各エンジンの間と機体の中心部に位置し、計8箇所に分散設計されていますが、搭載できる爆弾サイズは制約がありました。また、防御用に20門の機関銃を装備しており、遠隔操作可能な射撃装置が搭載されていました。

本機の設計は、ノースロップ社の創設者ジャック・ノースロップの全翼機に対する情熱から生まれ、特に性能の向上が期待されていました。全翼機の特性により、通常の形式の爆撃機よりも優れた速度と搭載量を持つ可能性が考えられました。このため、当局は名目上の飛行機の速度向上が期待され、開発契約が締結されました。

大西洋渡洋爆撃機構想

1941年、アメリカ陸軍航空隊は、大西洋を越えて作戦行動が可能な爆撃機の開発を各航空機製造会社に呼びかけました。この要件は、当時としては非常に野心的であり、長距離の爆撃能力を求めるものでした。ノースロップはこの概念に基づき、全翼機を提案し、1941年11月には公式に開発契約が結ばれました。

技術的困難と中止

製造過程では多くの技術的課題に直面しましたが、YB-35は1946年に初飛行を実施しました。しかし、飛行中に多くの問題が発覚し、計画は次第に遅延。最終的に、1949年に開発計画は中止が決定されました。完全な実用化を果たすことくださいましたが、当時の技術では全翼機の理論上の性能を実現するには至りませんでした。

その後、派生機としてYB-49が開発され、こちらはジェットエンジンを搭載しましたが、YB-35同様に運用には困難が伴い、最終的には量産計画が頓挫しました。

全翼機の未来

YB-35の開発は、全翼機という概念が現実的でないことを示した一方で、未来のステルス機の設計や兵器開発において重要な役割を果たしました。特にB-2スピリットに見られるように、全翼機の基本設計が後の技術に影響を与えています。今回の開発は、航続距離やスピード、重量において困難な課題が多かったことが明らかとなり、その後の航空機設計に重要な教訓を与えました。

諸元

• - 乗員：9名
• - 全長：16.2 m
• - 全幅：52.2 m
• - 高さ：6.2 m
• - 機体重量：54,432 kg
• - 最大離陸重量：95,000 kg
• - エンジン：R-4360-17 / R-4360-21計 4基
• - 最大速度：629 km/h
• - 航続距離：13,120 km（爆弾搭載時）
• - 武装：12.7 mm機関銃20門

まとめ

結果として、YB-35は多くの期待に反し、試作機の段階で開発が中止されたにもかかわらず、全翼機という新しい視点を航空機設計に提供しました。その後の航空機の設計思想に多大な影響を与え、現代の技術の進展によって全翼機の実用化が未来の可能性を開いています。

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