YB-60 (航空機)

YB-60の概要

YB-60は、かつてアメリカ合衆国に存在した航空機メーカーコンベアによって、アメリカ空軍のために設計された爆撃機です。この機体は、既に存在するB-36爆撃機の設計を踏襲しつつ、その特徴を純ジェット形式に改良したもので、初期の名称はXB-36Gでした。YB-60は、ボーイングのB-52爆撃機との競争の中で開発されていましたが、試作に留まり、量産には至りませんでした。

設計と開発の背景

YB-60は、B-36の改造型であり、約72%の部品が共通している一方、機首や主翼は新たに設計されています。主翼はB-36と同じく厚みがあります。この開発は、1960年代に次期戦略[[爆撃機]]を求める非公式な競争の中で行われ、ボーイングが全く新しい設計思想を持ってB-52を開発していることにコンベアが目をつけました。

開発者たちは、ボーイングのプロジェクトがリスクを伴うゼロからのスタートであるのに対し、既存のデザインを改良するYB-60の方が失敗する可能性が低く、開発コストを抑えられると考えました。1951年3月には空軍から予算が確保され、フォートワース工場での製作が始まりました。

YB-60は、B-52と同じくジェットエンジンを主翼の下に取り付けたもので、4基のポッドに2発1組の8発ジェットエンジンを搭載していました。万が一B-52の開発が失敗した場合には、YB-60が1960年代の戦略[[爆撃機]]としてアメリカ空軍に大量発注される可能性も十分にあったのです。

初飛行と性能

YB-60の乗員数はB-36の15名から減少して5名となり、この減少は操縦の自動化が進んだことを反映しています。ただし、完全な自動化は行われておらず、人的要素は依然として重要な役割を果たしていました。また、様々な武装の装備が計画されましたが、試作機には尾翼に装備された20mmの機関銃が2基のみでした。

この機体は、1952年4月18日に初飛行を行いましたが、試作機のYB-52は数日前に初飛行を成功させていました。YB-60は、同じエンジンを使用するにもかかわらず、B-52に比べて性能が劣っており、特に飛行速度では160km/h以上遅れていました。操縦の難しさも問題でした。爆弾搭載量ではYB-60が72,000ポンド（約33トン）と比較して優れていましたが、アメリカ空軍にとっては重視されませんでした。その結果、YB-60は制式採用されず、B-52が固定の戦略[[爆撃機]]となりました。

開発の結末

コンベアによる試験飛行はわずか66時間で、1953年1月20日に終了しました。二機目の試験機は武装を備えていたものの、エンジンは装着されませんでした。両機体は1954年に空軍に引き渡されましたが、その後は一度も飛行することなく、同年の7月までに技術研究素材として廃棄されてしまいました。このように、YB-60は背景にある大胆な挑戦と、アメリカ空軍の将来戦力における位置づけの要因を大きく反映した試作機となりました。

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