YE-5 (航空機)

YE-5: アメリカ合衆国のステルス実験機

YE-5は、アメリカ合衆国で開発されたステルス実験機で、ウィンデッカー イーグルを基に製造されています。この機体は、当初はレーダーに映りにくい航空機を目指して設計されましたが、様々な改造と試験を経ることで、ステルス性能が向上しました。

開発の背景

1963年、リオ・ウィンデッカーは、当時のアメリカの大統領科学技術顧問に対し、レーダーに映りづらい機体の開発を提案しました。しかし、この提案はなかなか評価されませんでした。初期のアイディアでは、繊維強化プラスチックを使用してレーダーの電波を透過させるというものでした。その後、グラスファイバーを用いた航空機の研究が進み、1967年にはウィンデッカー イーグルが初飛行を果たしました。

当時、ベトナム戦争の影響でレーダーが航空機にとって大きな脅威であることが広く認識されるようになり、1971年にはウィンデッカーがアメリカ合衆国空軍に「レーダーに映らない機体」の提案を行いました。この提案は、空軍システム軍団の研究開発次長であるオットー・ジョン・グラッサー中将によって評価され、試験が承認されました。

YE-5Aの誕生と改造

YE-5Aは、金属部分がエンジンと降着装置のみに限られた試験機として1973年に納入されました。この機体は、レーダー投影面積を減少させる方式が用いられ、後に民間向けに電波吸収体が追加されたことで、より優れたステルス性能を持つこととなりました。

さらに、1972年には「CADDO」というコードネームが与えられた機体が、アメリカ合衆国陸軍向けに製造されました。この機体は、ウィンデッカー イーグルの試作機（N803WR）をベースにしており、YE-5Aの試験結果が反映されていますが、異なる機体とされています。

1980年にハリケーンによってCADDOは失われ、YE-5Aは1985年に事故で破損しました。これにより、陸軍は新たにウィンデッカー イーグル（N4196G）を入手し、YE-5に改造して開発を継続しました。これが後にアメリカ陸軍航空博物館に収蔵されることとなった機体です。

型式と要目

YE-5には、以下のような型式があります。

• - CADDO: 陸軍向けの機体に付けられたコードネーム。YE-5Aとは異なる機体です。
• - YE-5A: 空軍向けに製造された機体で、1機のみが製造され、その後改造された同等機が存在します。

原型機ウィンデッカー イーグルの主な諸元は次の通りです。

• - 乗員: 1
• - 定員: 4
• - 全長: 9.7m
• - 全高: 2.9m
• - 翼幅: 8.7m
• - 空虚重量: 975kg
• - 有効搭載量: 1540kg
• - 動力: コンチネンタル IO-520C ピストンエンジン（208.8kW）× 1

性能

YE-5の主な性能は以下の通りです。

• - 最大速度: 339.5km/h
• - 巡航速度: 328.3km/h
• - 失速速度: 106.2km/h
• - 航続距離: 1979.5km
• - 実用上昇限度: 5486.4m
• - 上昇率: 371.8m/s
• - 離陸滑走距離: 260.6m

YE-5は、革新的なステルス技術の試験に貢献し、その後の航空機の設計に影響を与えました。

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