YF-23 (ロケットエンジン)

YF-23エンジン

YF-23は、中国が開発・運用する液体燃料ロケットエンジンファミリーの一つで、特に姿勢制御などを担うバーニアエンジンとして設計されています。このエンジンは、酸化剤として四酸化二窒素（N2O4）、燃料として非対称ジメチルヒドラジン（UDMH）を使用します。これらの推進剤は常温で貯蔵可能であり、かつ接触するだけで燃焼が始まる自己着火性（ハイパーゴリック）を持つため、信頼性の高い再着火が可能です。

推進モジュールでの役割

YF-23エンジンは単体で使用されるだけでなく、より大きな推力を発生する主エンジンであるYF-22と組み合わされることで、一つの推進モジュールを構成します。このモジュール化された構成は、推進システムの設計と運用を効率化するために用いられます。特に、YF-24からYF-25に至るいくつかの推進モジュールにおいて、YF-23はYF-22の補助として重要な役割を果たします。

主な使用ロケット

YF-23の基本設計は、中国の初期の宇宙打ち上げ機である風暴1号ロケットで初めて実用化されました。その後、その信頼性と性能から、中国の主力ロケットである長征（Long March）シリーズに広く採用されることになります。具体的には、長征2号、長征3号、そして長征4号といった主要な長征ロケット系列の第2段において、推進モジュールの一部として搭載され、機体の軌道投入や姿勢制御に貢献しています。

派生型

YF-23エンジンには、性能向上や信頼性強化などを目的としたいくつかの派生型が存在します。

YF-23: 本エンジンの最初の実用モデルとなる原型機です。
YF-23B: DaFY21-1という別名でも知られるこの型式は、YF-23の設計を改良したバージョンです。
YF-23F: YF-23系列におけるさらなる改良型であり、特定の推進モジュール構成で使用されます。

モジュール構成例

YF-23エンジンは、YF-22上段主エンジンと組み合わせることで、様々な推進モジュールを形成します。長征ロケットの第2段などで見られる代表的なモジュール構成には以下のようなものがあります。

YF-24: このモジュールは、1基のYF-22主エンジンと、それを補佐する1基のYF-23バーニアエンジンを組み合わせた構成です。初期の長征ロケットなどで使用されました。
YF-24B: YF-24の改良型にあたるYF-24Bモジュールは、改良された主エンジンである1基のYF-22Bと、その対応するバーニアエンジンである1基のYF-23Bで構成されています。
YF-24E: 比較的新しいYF-24Eモジュールは、性能が向上した1基のYF-22E主エンジンと、最新のバーニアエンジンである1基のYF-23Fを組み合わせています。これは、対応する長征ロケットの性能向上に寄与しています。

これらのモジュール構成により、YF-23エンジンは長年にわたり中国の宇宙開発において重要な役割を果たしています。

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