YOUNG HASTLE

YOUNG HASTLE（ヤング・ハッスル）は、日本のヒップホップ界で活動するラッパーであり、その独特なキャラクターと音楽性で知られている。愛称はヤンハスとして多くのファンに親しまれている。

彼の音楽キャリアの原点は、中学三年生の頃に遡る。当時、キングギドラ（現在のKGDR）が発表したアルバム『空からの力』に触れ、その革新的なサウンドとリリックに強い衝撃を受けたことが、日本語ラップというジャンルに目覚める決定的な契機となった。この体験を機に、ヒップホップの世界に深く入り込み、自らもラップを始めることを決意する。

2002年からは本格的にラッパーとしての活動を開始。東京、特に渋谷のクラブシーンを中心に積極的にライブパフォーマンスを行い、自身のスキルを磨き、知名度を高めていった。そして、キャリアにおける重要な節目となるのが、2010年6月にリリースされた初のCD作品『THIS IS MY HUSTLE』である。この1stアルバムによって、彼はインディーズながらも全国的にその名を知らしめ、正式なデビューを果たした。

その後も精力的な活動を続け、2015年には、同じくシーンで活躍するDJ TY-KOHやKOWICHIといった盟友たちと共に、自身の音楽をさらに追求するためのレーベル「FLY BOY RECORDS」を設立。プロデューサーとしても手腕を発揮し、自身の作品はもちろん、所属アーティストのリリースも手がけるなど、活動の幅を広げた。2017年4月には、これまでの活動の集大成として、自身にとって初となるワンマンライブを開催。多くの観客を魅了し、ラッパーとしての確固たる地位を確立した。

YOUNG HASTLEという人物を語る上で、彼の音楽活動と並んで特筆すべきなのが、筋力トレーニングに対する並々ならぬ情熱である。日課として欠かさずトレーニングに励むその姿は、SNSなどを通じても知られており、彼のパブリックイメージの一部となっている。彼が本格的に筋トレを始めたのは、一人暮らしを始めた際に食生活が変化した結果、痩せてしまった経験がきっかけだという。体重減少に危機感を覚え、肉体改造を決意したことが、現在の鍛え上げられた体へと繋がっている。

筋トレは彼のライフスタイルに深く根ざしており、時には厳しいトレーニングや食事管理のために多くの時間を費やし、楽曲制作に充てる時間や体力が限られてしまうこともあると語っている。その筋トレへの取り組みは単なる趣味にとどまらず、ボディメイクコンテストの世界にも及んでおり、俳優の金子賢氏が主催する「サマー・スタイル・アワード」にも出場した経験を持つ。さらに、この筋トレというテーマは、彼の音楽活動にも影響を与えている。2017年には、自身の象徴とも言えるトレーニングをテーマにした楽曲を集めたEP『Gym Time The EP』を配信限定でリリースし、そのユニークな切り口で大きな話題を呼んだ。これは、彼のパーソナリティがそのまま音楽に反映された好例と言える。

作品としては、前述の1stアルバム以降も複数のアルバムやEP、そしてミックスCDをリリースしている。DJ TY-KOHとのコラボレーションによるミックスCD『TYH the Mixtape』なども彼の作品リストに名を連ねる。また、メディアへの出演経験もあり、テレビ朝日系列で放送されていた人気番組『フリースタイルダンジョン』にはラッパーとして出演し、そのラップスキルを披露した。雑誌『Number Do』においても特集が組まれるなど、ヒップホップシーンの外からも注目を集めている。

YOUNG HASTLEは、自身の経験やライフスタイルを正直に表現するリリックと、ストリート感を失わないフロウで、日本のヒップホップシーンにおいて独自の存在感を放ち続けている。特に筋力トレーニングという、一見ヒップホップとは結びつきにくいテーマを自身のアイデンティティとして前面に出し、それを音楽に昇華させる手腕は、他に類を見ない彼の大きな魅力となっている。

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