Yahoo!ブログ

Yahoo!ブログは、Yahoo! JAPANが運営していたブログサービスです。2019年12月15日にサービスを終了しました。Yahoo! JAPANの他のサービスとの連携や、友人登録による交流を重視した、ソーシャル・ネットワーキング・サービス（SNS）に近い特徴を持っていました。一方で、カスタマイズの自由度が低く、デザインに凝ったブログを作るのには不向きでした。この点は、サイバーエージェントが運営するAmebaブログに類似していました。

概要

利用料金は無料でした。Yahoo! JAPAN ID一つにつき、一つのブログを作成できました。2012年2月からは、ニックネームでの開設も再び可能になりました。記事のテキストは、1記事あたり全角5000文字まででした。ゲストブックは全角500文字（以前は1024文字）、コメントも全角500文字という制限がありました。

ブログの編集には、Wiki文法とHTMLタグが使用できましたが、利用できる種類は限られていました。2010年3月17日からは、「かんたんモード」によるデザイン編集も可能になりました。独自機能として、記事の転載、お気に入り（ファン）登録、ブログリンク、投票機能がありました。記事の公開レベルは、全体公開、非公開、ファン限定、友人限定が選べました。他のブログサービスと異なり、CSSの編集はできず、プラグインも使用できませんでした。そのため、テンプレートの利用に制限があり、カスタマイズの自由度は低かったです。

ブログの人気度は、10段階で星5つで表示されました。訪問者数、コメント数、トラックバック数、お気に入り登録数によって決定されました。Yahoo! JAPANの他のサービスとの連携も特徴で、Yahoo!アバターをブログのプロフィール画像として使用でき、コメント投稿時にもアイコンとして表示できました。これはAmebaブログでアメーバピグで作ったキャラクターを使用できるのに類似していました。

サービス終了前後の混乱

2019年2月28日に、Yahoo!ブログは同年12月15日をもってサービスを終了することが発表されました。Yahoo! JAPANは、ブログサービス市場や技術的な運用課題、今後の事業方針を総合的に検討した結果、サービス継続は困難と判断したと説明しました。サービス終了に先立ち、運営側は公式な移転先としてAmebaブログ、livedoor blog、Seesaa[[ブログ]]、はてな[[ブログ]]を指定し、5月9日から専用のブログ移行ツールを提供しました（はてな[[ブログ]]は7月上旬から）。このツールでは、テキストだけでなく、画像やコメントも移行できました。

しかし、サービス終了の告知から移行ツールのリリースまでに3ヶ月（はてな[[ブログ]]は5ヶ月）かかったため、ユーザーはどのブログサービスに移転すべきか大いに悩みました。また、公式ツールで移行すると、Yahoo!ブログのデータは自動的に消去され、移行後は新しいブログにリダイレクトされる仕様だったため、移行は失敗が許されない状況でした。Yahoo!ブログはユーザーが多かったため、サービス終了発表後は大きな混乱が生じ、「Yahoo!ブログ難民」という言葉も生まれました。

大手ブログサービスの中でFC2[[ブログ]]は公式移転先には指定されませんでしたが、FC2[[ブログ]]の「ブログお引越しツール」は以前からYahoo!ブログに対応していたため、公式ツールのリリースを待たずにFC2[[ブログ]]への移行が可能でした。FC2[[ブログ]]のツールを使用した場合は、移転前のブログも残せるため、FC2[[ブログ]]へ移行したユーザーもいましたが、FC2[[ブログ]]の機能は複雑で、カスタマイズの知識が必要であったため、他のブログサービスへさらに移行するユーザーもいました。

公式ツールのリリース遅延や移行作業の大変さから、移行を断念するユーザーも多く、Yahoo! JAPANが以前に提供していた「ジオシティーズ」がサービス終了した時と同様に、多くのブログが失われました。ジオシティーズの閉鎖では多くの個人サイトが失われたのと同じように、Yahoo!ブログの閉鎖でも長年更新を続けてきたブロガーが移行を断念するケースが多くありました。

実際には、SNS的な交流機能があり、複雑なカスタマイズの知識が不要なAmebaブログに多くのユーザーが移行しました。また、livedoor blogへ移行したユーザーも少なからずいました。一方で、独特の文化を持つはてな[[ブログ]]へ移行したユーザーは多くありませんでした。

Yahoo!ブログの閉鎖直後、2020年1月31日には、GMOメディアの老舗ブログサービス「ヤプログ!」もサービスを終了し、ブログ黎明期に誕生したブログサービスが相次いで閉鎖されることとなりました。

沿革

2005年1月31日：ベータ版としてサービス開始。
2007年1月：Wiki文法の機能強化。
2008年
2月：モバイル版Yahoo!ブログがリリース。
5月：Yahoo!プロフィールとの連携（友達機能など）。
5月: ゲストブックのコメント投稿で秘密投稿が廃止される。
5月: 動画付き記事投稿でニコニコ動画への対応を発表。しかしニコニコ動画には対応しなかった。
10月：ブログトップページをリニューアル。新着コメントの確認が容易になる。外部URLを含む記事投稿が制限される。
2009年
9月：My Yahoo!が新しくなり、ブログとの連携が深まる。
11月：Yahoo!ブログ運営が非公式Wiki文法の使用自粛を求める。
2010年
3月：投稿画面が大幅に修正され「かんたんモード」が追加される。
12月：コメントとトラックバックの承認機能を追加。
2012年
2月：記事の公開設定に「友達まで公開」が追加される。
2月：1つのYahoo!IDで最大7つまでブログが開設可能になる。
2017年
11月：リニューアル版Yahoo!ブログのベータテストを開始。
2019年
2月28日：Yahoo!ブログのサービスを同年12月15日をもって終了することを発表。
3月31日：Yahoo! JAPANが提供していたウェブサイト作成サービス「ジオシティーズ」がサービス終了。多くのウェブサイトが失われる。
4月15日：リニューアル版Yahoo!ブログのベータ版を提供終了。
5月9日：ブログの新規開設を終了。
5月9日：他社ブログ（Amebaブログ、livedoor blog、Seesaa[[ブログ]]）への移行ツールをリリース開始（同年12月15日まで）。
7月：はてな[[ブログ]]への移行ツールをリリース開始（同年12月15日まで）。
8月31日：記事の投稿と編集、コメントの投稿を終了。
12月15日：サービスを終了し、全ブログが閉鎖される。

荒らし対策

2008年末頃から、コメント欄のURLはリンクしなくなり、荒らし書き込みは減少しました。しかし、その後も放置されているブログを中心に、不適切な内容のコメントが多発していました。そのため、多くのユーザーから荒らし対策の強化が求められていました。2008年10月には記事の投稿制限が設けられ、外部URLや不適切なコードが含まれている場合、または迷惑行為のあったURLが含まれている場合に、1時間投稿できなくなりました。コメントにも2010年12月に制限が設けられ、連続投稿すると11件目で10分間投稿できなくなりました。

2009年12月16日からは、トラックバックを拒否する機能（トラックバックフィルター）が追加され、トラックバック荒らしが減少しました。コメントのみを受け付ける設定も可能になりました。しかし、デフォルトでは「トラックバックを受け付ける」設定でした。トラックバック機能を悪用したワンクリック詐欺も発生したため、2010年11月からは、ログインしていないユーザーからのトラックバックを受け付けないようにする機能が追加され、ワンクリック詐欺は減少しました。2010年末からは、ブログ管理者がコメントやトラックバックの公開を承認制にする機能（コメントフィルター&トラックバックフィルター）が追加されました。

脚注

出典

関連項目

Yahoo!JAPAN
ジオシティーズ - ウェブサイト作成サービス。Yahoo!ブログと同年にサービス終了。
ヤプログ! - GMOメディアのブログサービス。Yahoo!ブログ閉鎖直後にサービス終了。
ブログ#日本における普及

外部リンク

Yahoo!ブログ - ウェイバックマシン（2005年2月3日アーカイブ分）
Yahoo!ブログからのお知らせ - ウェイバックマシン（2019年11月1日アーカイブ分）

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