YouTubeシアター

YouTubeシアター

アメリカ合衆国、カリフォルニア州イングルウッドに位置するYouTubeシアターは、最大6,000人を収容できる、音楽ライブや演劇公演を中心とした多目的エンターテインメント施設です。正式名称は「YouTube Theater」であり、その名の通り動画共有プラットフォームであるYouTubeが命名権を取得しています。

この劇場は、ナショナル・フットボール・リーグ（NFL）のロサンゼルス・ラムズとロサンゼルス・チャージャーズが本拠地とする巨大スタジアム、SoFiスタジアムと一体の構造を持つユニークな設計となっています。また、かつて競馬場として親しまれたハリウッドパークの広大な跡地を利用して開発された、一大エンターテインメント複合施設「ハリウッドパーク・エンターテインメント複合施設」の一角を占めています。

建設と歴史

YouTubeシアターの建設構想は、2015年に当時のセントルイス・ラムズのオーナーであったスタン・クロエンケ氏が、NFLスタジアムと広範なエンターテインメント施設をハリウッドパーク跡地に開発する計画を発表したことに始まります。この壮大なプロジェクトの一環として、6,000席規模のパフォーマンス会場の建設も計画に含まれていました。スタジアムと劇場の建設工事は、その発表の翌年、2016年11月に本格的に着工されました。

劇場の名称については、建設が進む中で、2021年6月28日にGoogle傘下のYouTubeが10年間の命名権を取得したことが公に発表され、「YouTubeシアター」という名前が冠されることになりました。そして、2021年8月9日には公式なテープカット式典が執り行われ、会場はその扉を開きました。最初のイベントが開催されたのは、そのおよそ1ヶ月後、2021年9月4日のことで、メキシコのロックバンド、カイファネスによるライブ公演でした。

開場以来、音楽ライブ、演劇、コメディショーなど、幅広いジャンルのイベントが開催されています。特に注目すべきイベントとしては、2022年3月下旬に初めてeスポーツイベントとして開催された「ロケットリーグ・チャンピオンシップ・シリーズ（RLCS）ウィンター・メジャー」が挙げられます。これはRLCSにとって約2年ぶりの有観客ライブイベントであり、多くのファンが集まりました。さらに、2025年4月6日には、日本の著名なミュージシャンである米津玄師氏のワールドツアー「KENSHI YONEZU 2025 WORLD TOUR / JUNK」の北米会場の一つ、かつツアーファイナル公演の地となることが決定しており、国際的な注目も集めています。

デザインと設備

YouTubeシアターは、テキサス州ダラスに拠点を置く建築設計事務所、HKS, Inc.によって設計されました。建物は3階建てで、延べ床面積は約2万1,100平方メートルに及びます。会場の収容人数は3,400人から最大6,000人まで柔軟に対応可能となっており、様々な規模のイベントに対応できる設計がなされています。

観客席のレイアウトにも工夫が見られます。特に、325平方メートルの広さを持つクラブフロアが併設されており、ここには6つの高級ボックス席や140席のプレミアムシート（アリーナ席）を設置することができます。これにより、より特別な観劇体験を求める観客のニーズにも応えています。会場全体としては、観客とステージとの一体感を重視した、親密な空間となるよう設計されており、最後列の席からでもステージまでの距離はわずか50メートルに抑えられています。音響システムについては、高品質なサウンドを提供するために、音響技術のリーディングカンパニーであるL-Acoustics社によって設計・導入されています。これらの設備と設計により、YouTubeシアターはアーティストと観客の双方が最高のパフォーマンスと体験を享受できる環境を提供しています。

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