ZOMBIO/死霊のしたたり

『ZOMBIO／死霊のしたたり』（原題：Re-Animator）は、1985年に公開されたアメリカ合衆国のホラーコメディ映画です。H・P・ラヴクラフトの小説『死体蘇生者ハーバート・ウェスト』を原作としており、スチュアート・ゴードン監督のデビュー作としても知られています。

本作は、マサチューセッツ州の大学の脳外科医であるヒル博士の研究室で助手を務めるハーバート・ウェストが、死体を蘇生させる血清を発明するところから物語が始まります。ウェストは、その血清の有効性を確かめるため、同僚のダンと、学長の娘であるメイガンと共に、大学の死体安置所で実験を行います。

しかし、実験は予想外の事態を招きます。蘇生した死体はゾンビと化し暴れだし、その騒ぎを聞きつけた学長ホルジーを殺害してしまいます。ウェストとダンは、血清を用いてホルジーを蘇らせようとしますが、彼は狂暴なゾンビと化してしまいます。

一方、メイガンに恋心を抱くヒル博士は、ウェストの血清の技術を横取りしようとしますが、逆にウェストに首を切断され、頭と胴体にそれぞれ血清を注射された結果、首と胴が分離したゾンビと化します。

ウェストを気絶させ逃亡したヒル博士は、メイガンを誘拐しようとしますが、駆けつけたウェストとダンに、ゾンビの群れが襲いかかります。激しい戦いの最中、ヒルの胴体から噴出した内臓がウェストを締め付けます。そんな中、メイガンを救おうとしたホルジーが、ヒルの頭部を握り潰すという劇的な展開を見せます。しかし、脱出寸前にメイガンはゾンビに殺されてしまい、悲しみに暮れるダンは、メイガンの遺体に血清を注射するという衝撃的な結末を迎えます。

映画のキャストには、ハーバート・ウェスト役のジェフリー・コムズ、ダン役のブルース・アボット、ヒル博士役のデヴィッド・ゲイル、メイガン役のバーバラ・クランプトンなどが出演しています。

『ZOMBIO／死霊のしたたり』は、その衝撃的なストーリー展開と、ブラックユーモアを交えた演出で高い評価を得ており、ホラー映画ファンの間ではカルト的な人気を誇っています。また、本作はシリーズ化されており、1989年には『死霊のしたたり2』、2003年には『RE-ANIMATOR／死霊のしたたり3』が公開されました。特に『死霊のしたたり2』は、日本の山形テレビ（YTS）が出資したことで話題となりました。これはバブル期の事業多角化の一環でしたが、後に経営悪化の一因となり、フジテレビ系列からテレビ朝日系列へのネットチェンジの遠因にもなったと言われています。

『ZOMBIO／死霊のしたたり』は、その独特の世界観と、予想外の展開に満ちたストーリー、そして個性的なキャラクターたちが織りなす、忘れられないホラー映画体験を提供してくれる作品です。ホラー映画ファンはもちろんのこと、個性的な作品を求める全ての人におすすめできる、傑作と言えるでしょう。

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